研究課題
特定領域研究
研究実施計画(1)に関してマウス肺癌及び大腸癌由来の転移能の異なる株細胞を用いて、腫瘍細胞の転移能に関与することが報告されているマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の活性化に、細胞表層のヘパラン硫酸プロテオグリカンが関与していることを明らかにした。1)ルイス肺癌由来細胞株を用いて、シンデカン-2がヘパラン硫酸側鎖を介してMMP-2の活性化を抑制することを明らかにし、転移能とシンデカン-2発現量が逆相関する因果関係の一側面を説明し得た。2)大腸癌細胞Colon26由来細胞株を用いて、MMP-9が細胞の運動性、浸潤性、転移能に関与すること、また、細胞移動の先端部位である葉状仮足表層に、ヘパラン硫酸と共局在することを明らかにした。これは細胞表層におけるMMP-9の活性化を示唆した初めての知見である。研究実施計画(2)に関して昨年度、ヘパリンがルイス肺癌由来細胞株の肺転移を著しく抑制することを報告した。今年度は、硫酸基の結合位置を調整したヘパリンを用い、転移抑制には6位及びN位の硫酸基が重要であり、2位の硫酸基は殆ど関与しないことを明らかにした。それらの効果が、in vitroでの基底膜成分に対する腫瘍細胞の接着阻害に反映されることから、それらが細胞外マトリックス受容体としての細胞膜型ヘパラン硫酸プロテオグリカンに対し、糖鎖構造特異的に競合阻害することが確認された。これは昨年明らかにした腫瘍細胞の肺における生着を減少させるヘパリンの効果を説明するものと考えられた。
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