配分額 *注記 |
68,000千円 (直接経費: 68,000千円)
2006年度: 17,000千円 (直接経費: 17,000千円)
2005年度: 17,000千円 (直接経費: 17,000千円)
2004年度: 17,000千円 (直接経費: 17,000千円)
2003年度: 17,000千円 (直接経費: 17,000千円)
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研究概要 |
本班は,電体新書と複数臓器同時抽出処理の開発を行った.ここで電体新書とは,人体の解剖・病理・機能(生理,運動)に関する情報を計算科学的,あるいは統計学的に記述した一種のデータベースである.本研究では上腹部の3次元腹部CT像に含まれる12個の臓器,すなわち,食道,心臓,胃(十二指腸の2ndポーションまで),肝臓,胆嚢,膵臓,左右腎臓,脾臓,門脈(脾静脈も含む),腹大動脈,下大静脈,に注日し,臓器の1)存在確率を表す確率アトラス, 2)平均形状や固有形状などの統計形状モデル, 3)内部の濃度値などの特徴量に関する統計データベース,をそれぞれ作成した.また,これらを利用した12臓器の同時抽出処理を開発した.その処理は,腹腔領域の空間的標準化,臓器の粗抽出,及び精密抽出の各処理からなる.空間的標準化については,本研究で新しく階層的標準化法を提案した.この方法はまずは肝臓などの大きな臓器について標準化を行った後で,その結果を利用してばらつきの大きな難しい臓器の位置あわせを行なうことで,全体的な精度の向上に成功した.次に,最大事後確率法に基づいて粗抽出処理を行う.そこでは,まず, EMアルゴリズムによってパラメータを推定するが,本研究では,ここに確率アトラスを事前知識として利用する方法を新しく開発した.さらに,事後確率の定義を近傍の画素における特徴を条件とするものに拡張することで高精度化を達成した.最後に,複数レベルセット法を用いて12臓器の同時抽出処理を行うが,そこでは,クラスタコンピュータを利用して隣接臓器間で相互作用をしながら臓器を抽出する方法を提案した.本研究では,以上の手法を実際の腹部CT像17症例に適用して性能を評価したが,手入力領域との一致度が全臓器で平均75%という高い数値を達成した.
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