研究課題/領域番号 |
15073221
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
高橋 利宏 学習院大学, 理学部, 教授 (60163276)
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研究分担者 |
開 康一 学習院大学, 理学部, 助教 (00306523)
千葉 亮 学習院大学, 理学部, 助手 (70406883)
鷹野 芳樹 学習院大学, 理学部, 助手
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研究期間 (年度) |
2003 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
38,000千円 (直接経費: 38,000千円)
2007年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2006年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2005年度: 29,100千円 (直接経費: 29,100千円)
2004年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2003年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 分子性固体 / 有機導体 / 低温物性 / 超高圧物性 / 強磁場物性 / 分子性導体 / 金属絶縁体転移 / 電荷整列 / 磁気共鳴 / 高圧物性 |
研究概要 |
分子性導体における構造-機能相関を明らかにするために、圧力下を含む固体NMR実験による研究を行った。主な成果は次の通りである。(1)θ-(BEDT-TTF)_2MZn(SCN)_4塩(M=Rb, Cs)について、転移温度以上の「金属」相においてすでに電荷の「不均化」が発達しており、きわめて遅いゆらぎが出現していることを発見した。これは複数の異なるタイプの電荷秩序の競合によるものと考えられる。(2)α-(BEDT-TTF)_2I_3塩の金属相で、異なるタイプの電荷不均化が存在し、転移に向かって徐々に発達していくことを見出した。同型の分子配列を持つBEDT-TSF、BEDT-STFをベースとするα-I_3塩でも、転移温度以上の広い温度領域で電荷不均化(電荷分離型)が発達していることを見出した。(3)(TMTTF)_2PF_6塩について低温反強磁性相の磁気構造の解析を行い、EPRの解析から推定された電荷整列パターンと一致する磁気構造をとることを確認した。複数のBechgaard塩(TMTSF)_2X塩について低温反強磁性相の磁気構造を解析し、系統的な比較を行った。(4)(TMTTF)_2FSO_3塩について圧力下の電子状態を^<77>Se,^<19>F-NMRによって解析し、0.64GPaの圧力下で90K以下でFSO_3^-イオンの電気双極子と伝導電子の結合を強く示唆するNMR線幅の増大を観測した。(5)β'-(Et_2Me_2P)[Pd(dmit)_2]_2の絶縁体-金属転移を含む広い温度-圧力範囲で圧力による絶縁体-金属転移に伴うスピンダイナミクスを明らかにした。(6)磁場誘起超伝導体λ-(BETS)_2FeCl_4の強磁場下の^<77>Se-NMRを行い、33Tに達するFeイオンの作る交換磁場を確認した。これはJaccarino-Peter機構を直接検証する初めての実験である。また、30K以下の温度で、電荷の不均化を強く示唆する^<77>Se-NMR線幅の増大を観測した。同様な減少をFeイオンを含まないλ-(BETS)_2GaCl_4塩においても確認した。これがBETS分子層の事情で起こっていることを証拠づけるものである。(本研究は、Grenoble Joseph Fourier大C. Berthier博士らとの共同研究である)。(7)この他、(EDO-TTF)_2PF_6の陰イオンダイナミクスの^<19>F-NMRによる解析、分子性超伝導体(BETS)_2(X_2TCNQ)の圧力下の電子状態の^<77>Se-NMR、(DCl-DCNQI)_2Agの^<35>Cl-NQRによる低温絶縁相の解析等を行い、それぞれ興味深い知見を得た。
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