配分額 *注記 |
76,600千円 (直接経費: 76,600千円)
2007年度: 9,800千円 (直接経費: 9,800千円)
2006年度: 7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
2005年度: 20,300千円 (直接経費: 20,300千円)
2004年度: 30,100千円 (直接経費: 30,100千円)
2003年度: 8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
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研究概要 |
本年度は、当特定領域研究の最終年度に相当するため、本グループの目標とする(1)「過冷却液体・金属ガラスの局所構造・中範囲構造と相安定性の関連の解明」の研究、さらにこれを基にした(2)「新規バルク金属ガラス創製に必要となるガラス相安定化機構を確立」についての研究のまとめを実行した。 (1)については、FeCoSiNbB,FeCrMoCBTm, PdNiP、ZrNiCuAI等のガラス安定性の高い合金系における結晶化挙動を透過型電子顕微鏡で調べ、いずれの系においてもガラス相から直接単位胞の大きい複雑構造の析出が見出されたが、急冷状態で存在する2nm程度に拡がっだ中範囲規則領域の構造は析出相に比べ極めて不完全な構造であり、直接結晶核とはなりえず、結晶核形成において複雑な構造変化を必要とすることが明らかとなった。この過程が結晶化を遅らせ、ガラスの高い安定性に寄与するものと結論した。 (2)については、昨年度に構築したPdNiCuP金属ガラスの微視的構造モデルを多角的に検証した.まず,X線非弾性散乱実験によるフォノンエネルギーからnm波長の音速を求め,超音波によるmm波長の音速と比較したところ,前者の方が音速が大きいことが明らかとなった.また,同金属ガラスを殆どのダイナミクスが凍結される極低温領域まで弾性共鳴周波数を測定し,その内部摩擦と振動数の温度依存性を計測することにより,速い緩和挙動が存在しないことも明らかにした.すなわち,nm波長の速い音速は時間依存ではないことを意味しており,空間不均一性によるものと結論した.また,同様の実験をストロング液体であるZr系のバルク金属ガラスにも適用した結果,速い音速は観測されないことを見出した.これは,Zr系ガラスの方がより均質性が高いことを意味しており,このことから,フラジリティの程度により構造不均質性の程度が異なることが明らかとなった。
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