研究課題
特定領域研究
本研究では、免疫情報の獲得と応答制御の分子機構を明らかにする事を目指している。免疫監視の中心的な機構として、感染を伴う細菌などをまず樹状細胞(DC)が認識し、それによって自然免疫系が活性化され、T細胞の特異的抗原認識と活性化を誘導する、ことが明らかになってきている。今回の解析から、自然免疫系のシグナル制御に中心的な役割を担っているIRAK-4が、獲得免疫系のT細胞の活性化にも重要であることが判明した。IRAK-4欠損マウスでは、LCMV感染に伴うCD8+T細胞の増殖とキラー活性の低下が見られた。DC等の自然免疫系の欠陥によるためか、T細胞によるか、をT細胞の移入実験で解析した結果、T細胞の活性化が不全であることが判明した。OVA特異的なCD4+T細胞の系でも同様にT細胞機能に欠陥のあることがわかった。In vivoだけでなく、in vitroでのアロ刺激、super抗原刺激、抗TCR刺激でもT細胞活性化の抑制が観察された。TCR活性化におけるシグナル伝達系、特にNFATとNF-_κB活性化、においてどこに欠陥があるかを解析した結果、NF-_κB活性化が抑制されていることが解った。PKC_θのリン酸化が抑制されているのがその原因であると考えられた。即ち、IRAK-4はTCR活性化シグナル伝達の上で、NFATとNF-_κB活性化の分岐において、NF-KB活性化へ推進する役割があることが判明した。その機構としては、over expressionを用いた系では,IRAK-4とZAP-70が会合したことから、T細胞活性化によってZAP-70とともにIRAK-4がTCR近傍にリクルートされ活性化制御に関与すると考えられる。自然免疫系とともに獲得免疫系でもNF-_κB活性化にIRAK-4が重要な結果は、進化上でもこのNF-_κB活性化システムが保存されてきたこと示唆していると考えられる。
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