研究課題/領域番号 |
15082201
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
加藤 宏司 山形大学, 医学部, 客員教授 (30006746)
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研究分担者 |
藤井 聡 山形大学, 医学部, 教授 (80173384)
佐々木 寛 玉川大学, 工学部, 准教授 (70261691)
山崎 良彦 山形大学, 医学部, 助教 (10361247)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
34,300千円 (直接経費: 34,300千円)
2007年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2006年度: 6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
2005年度: 8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
2004年度: 9,200千円 (直接経費: 9,200千円)
2003年度: 5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
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キーワード | 海馬 / 放線層 / 白板 / オリゴデンドロサイト / グルタミン酸受容体 / 活動電位の伝導速度 / ミエリン形成と跳躍伝導 / ラット / 介在ニューロン付随グリア細胞 / グリア-ニューロン相互作用 / 神経伝導速度 / ラット海馬 / 脳型脂肪酸結合タンパク質 / アレキサンダー病モデルマウス / ニューロン-グリアの相互作用 / ニューロン付随グリア細胞 / アストロサイト / 2個所からのホールセル記録 / ラット海馬CAI領域 / シナプス可塑性 / シナプス伝達修飾効果 / ニューロン付随アストログリア細胞 / 介在ニューロン / 2個所からの同時ホールセル記録 / アデノシンA1受容体拮抗薬(8CPT) / ラット海馬CA1 / ノックアウトマウス / アストログリア / オリゴデンドグリア / 脳型脂肪酸結合タンパクノックアウトマウス(B-FABP KO mouse) / 長期増強(Long-term potentiation, LTP) / ポールテストpole-test / 回転棒テストrotor-rod test / 4箇所からの餌取学習装置(4-PT test) / 情動行動 |
研究概要 |
今までの研究では、ラット海馬放線層の介在ニューロンinterneuron,INとそれに付随するグリアのペアを選択して研究してきた。ここのグリア細胞には、アストロサイトastrocyte,ACとオリゴデンドロサイトoligodendrocyte,ODCがほぼ同数あることを特異抗体による免疫染色で明らかにした。そしてこのうちのINとACには直接的な相互作用があること、つまりニューロン間の情報伝播にACが関与することを明らかにしてきた。本年度はPGの中のODCに注目し、ニューロンの情報伝播に対する関与を検討した。その結果は以下のようであった。 (1)ODCの特異抗体であるAnti-CNPaseの染色でODCと確認された細胞は、ACとほぼ同じ約10μの大きさの細胞体を持つ。ODCの分枝は、ACが広範で密であるのに対して、数本の太い突起が細胞体より出て枝分かれしていた。これらの枝には、INの軸索起始部あるいは樹状突起起始部に接するもの、あるいはミエリン形成と思われる突然の断端も見られた。 (2)ODCの主要な機能はミエリン形成により活動電位の伝導を跳躍電導により速くすることである。そこでODCの活動電位の伝導速度に対する効果を海馬白板のODCで検討した。まず、ODCが関わる軸索の絞輪間距離は約40μmであることを明らかにした。そして、ODCが入力刺激にグルタミン酸受容体(NMDAおよびnon-NMDA)を介して反応することを明らかにした。 (3)CA1ニューロの軸索の伝導速度は約1m/sであり、ODCを先行して脱分極すると電導速度が約10%速くなることを明らかにした。 以上の結果から、ACの脱分極がINのシナプス伝達に抑制的であるのに対して、ODCは活動電位の電導速度に促進的な修飾作用を持っていることが明らかになり、両グリア細胞が脳の情報処理に深く関与していると結論した。
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