配分額 *注記 |
23,100千円 (直接経費: 23,100千円)
2005年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
2004年度: 8,200千円 (直接経費: 8,200千円)
2003年度: 8,100千円 (直接経費: 8,100千円)
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研究概要 |
本研究の目的は30T級ハイブリッド磁石を用いて反磁性物質を浮上させ,磁気浮上状態における材料プロセスを開発することである.炭酸ガスレーザー加熱の磁気浮上炉を用いて,有機ポリマーや分子性結晶の加熱溶融を試みた.多くの物質で加熱により上下動や回転運動が観察された.これは加熱による反磁性磁化率の増加と,不均一加よる試料内の温度分布に起因しており,磁化率変化によるポテンシャルエネルギーの増大が運動エネルギーにされた結果生じたものである.従来,反磁性磁化率の温度依存性は無視されてきたが,わずかな磁化率の違いが磁気浮上状態では大きな浮上位置の変化をもたらすので,磁気浮上炉の設計には重要となる.さらに,物質合成において重要な熱対流を強い磁気力により制御できることも見出した. この結果をもとに,新たに二種類の磁気浮上炉の開発を試みた.ひとつは磁石ボア内に設置した小型赤外線ランプで浮上試料を直接照射するタイプのもので,単純な構造ゆえに極めて操作しやすく,しかも安価に製作できる磁気浮上炉となった.これは高分子や分子性結晶を扱うために開発したもので,レーザー光に比べよりも均一に光を照射し,より穏やかな加熱ができ,また,白色光であるためより多くの種類の物質を対象にできるという利点がある.次に,より均一な加熱を実現するために電気炉を用いた磁気浮上炉の開発を行った.電気炉は多くの磁場中加熱プロセスに用いられているが,これまで磁気浮上炉として用いられなかったのは,強磁場・高温の内部観察が難しかったからである.我々は耐熱ボアスコープと電気炉,ハイブリッド磁石を組み合わせた磁気浮上炉を開発した.これにより3000T^2 m^<-1>程度の磁気力場で,800℃までの浮上溶融凝固の観察が可能となった.これを用いてレーザー炉では出来なかった球状高分子試料の作製に成功し,さらに無機イオン結晶へも適用も試みている.
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