研究分担者 |
島津 佳弘 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 助教授 (70235612)
山本 勲 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 助教授 (40242383)
廣田 憲之 横浜国立大学, 物質・材料研究機構・強磁場研究センター, 研究員 (10302770)
木吉 司 横浜国立大学, 物質・材料研究機構・強磁場研究センター, 副センター長 (00354316)
阿部 晴雄 横浜国立大学, 物質・材料研究機構・強磁場研究センター, 主席研究員 (80142917)
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配分額 *注記 |
47,800千円 (直接経費: 47,800千円)
2005年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
2004年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
2003年度: 33,600千円 (直接経費: 33,600千円)
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研究概要 |
物質分離は重要な科学的テーマの一つである.本研究は、強磁場印加が引き起こす特有の効果である高磁気エネルギー,磁場配向,高磁気力などを利用して,従来法では分解能が小さかった物質,あるいは分離が困難であった物質を分離・分析する新しい方法を開拓した.強磁場が生み出す磁気効果を利用して水素同位体分離,無機物および有機物反磁性物質の分離,異なる形状のDNAの分離を効果的に実現した.さらに,物質分離実験で必要とされる気力を効果的に提供できるマグネットを考案した.それとともに,物質分離のための基礎現象を解明した. 研究テーマ1「強磁場を用いた水素同位体分離」については,強磁性金属水素(重水素)化物LaCo5H(D)xを用い,13Tまでの磁場下で同位体分離実験を行った.同位体分離係数(D/H)gas/(D/H)solidが磁場印加により向上することが分かった.しかし、これに関する磁場効果の機構は解明するに到らなかった.研究テーマ2「磁場配向ゲルを用いたDNA電気泳動」についてはDNA電気泳動を磁場中で行うことによる泳動速度に対する効果は著しいことが分かった.また、磁場中試料回転法によるゲルの高度配向については、磁場配向の詳細なメカニズムを解明しつつ、高度に一軸配向したゲルを作製して評価した.研究テーマ3「弱磁性物質の重力制御環境と磁気分離」については生体関連物質の磁気アルキメデス浮上に関して、対象とする物質を広げ、適用の可能性を評価した。また、空間的磁場分布の物質分布・配置に与える影響の評価に関連して、誘起磁気双極子間相互作用による構造形成についてより粒径の小さな系に対する効果を評価したほか、分子動力学法に基づくシミュレーションモデルを構築した.研究テーマ4「高機能を有する磁気力制御装置の考案」については,伝導冷却型超伝導マグネットの外部磁場を利することを前提としてバルク超伝導体等の最適な形状や配置をシミュレーション上で検討するとともに、その結果を踏まえて、マグネットのボア内にバルク超伝導体と強磁性体を組み込みことが可能な磁気力制御装置を製作した.全般にわたり、ほぼ当初の計画を達成できたといえる。物質分離法の基礎として単独イオンの磁気ミグレーションの存在をはじめて確認した. 本研究で見出された磁場中の電気泳動、重力制御環境による物質分離、単独イオンの分離は磁場効果の新分野として発展していくものと期待される.新開発した磁気力制御装置は広範囲の物質分離や磁場応用にに利用できる.
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