配分額 *注記 |
34,700千円 (直接経費: 34,700千円)
2006年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2005年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
2004年度: 14,100千円 (直接経費: 14,100千円)
2003年度: 11,900千円 (直接経費: 11,900千円)
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研究概要 |
本研究では,力学刺激を受けた細胞が形態変化を起こす過程を明らかにするため,焦点接着斑会合タンパク質FAKの一部であるFAT domainと焦点接着斑に連結しているアクチンフィラメントに注目し,力学刺激時の両者の動きを観察,解析しその役割を明らかにすることが目的である.特に,本研究で導入する新しいテクニックは,流れ刺激を負荷しながらFAT domainおよびアクチンフィラメントの動的挙動を直接観察する方法や表面形状を工夫した伸展膜を用いた伸展刺激負荷方法を開発することにある.まず, RFP-FAT domainおよびGFP-アクチンのベクターを用いて流れ刺激に対する細胞の形態変化を経時的に観察する実験系を確立した.ウシ大動脈由来内皮細胞を用いて実験を行った結果, FAT domainの消失,出現と密接に関連しながらアクチンフィラメントは再配列する様子が観察された.次に,微細加工を用いてマイクロピラーを有するPDMS膜を作製し,焦点接着斑の間のみに局所的に伸展刺激を負荷する方法を開発した.本法により,内皮細胞はマイクロピラー上面の周辺部に焦点接着斑を形成し,伸展方向に対して直交する方向にアクチンフィラメントの太い束であるストレスファイバを発達させることが明らかとなった.さらに,細胞内の力学情報伝達を考える上で重要なストレスファイバの力学特性を計測するためにマイクロ引張試験装置を開発した.内皮細胞から化学的処理により単離したストレスファイバに対して初めて引張試験を行い荷重-変位関係を得た.ストレスファイバの荷重-変位関係は非線形であり大きな伸展性を有することが明らかとなった.本研究により,細胞の力学応答機構における焦点接着斑と細胞骨格の果たす役割について重要な知見を得ることができた.
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