配分額 *注記 |
40,000千円 (直接経費: 40,000千円)
2006年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
2005年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
2004年度: 9,400千円 (直接経費: 9,400千円)
2003年度: 20,400千円 (直接経費: 20,400千円)
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研究概要 |
細胞の力学特性と細胞骨格の関係は力学的刺激が細胞応答に変換される過程を知る上で重要である.本研究では血管から単離直後の平滑筋細胞(FSMC)とこれを培養した細胞(CSMC)を主な対象とし,自作の細胞用引張試験機でアクチンフィラメント(AF)と微小管(MT)を選択的に破壊した細胞の準静的力学特性と応力緩和特性を計測した.また細胞回転観察装置を試作し,CTの原理を用いて細胞骨格の3次元微細構造を可視化した.これより以下の結果が得られた:1)FSMCはAFが配向する長軸方向が他方向に比べ硬く,CSMCのスティフネスはAF破壊により60%低下した.平滑筋細胞の引張特性にAFが大きく寄与することが確認できた,2)CSMCの応力緩和は,時定数が約1分の早い応答と,約1時間の遅い応答の組合せで表現でき,AFは特に遅い応答への関与が高いことが判った,3)基板付着形状を維持しつつ細胞の引張試験を行う方法を確立し,CSMCの引張特性を計測したところ, AFとMTの破壊によりスティフネスが夫々約70%,30%低下したことからAFだけでなくMTも引張特性に寄与することを明らかにした,4)細胞回転観察装置によりFSMC内部のAFが細胞の長軸方向に螺旋状に配向している様子を観察できた.また,基板付着状態では円盤状であるCSMCの核が,細胞が基板からの剥離し収縮すると座屈することを見出した,5)別途,原子間力顕微鏡で計測したCSMCの局所スティフネスはMTの破壊で上昇傾向にあった。一方,引張試験で得られた培養線維芽細胞(CFB)のスティフネスはMT破壊の影響は受けなかったが, AFの破壊で約75%低下した. 以上より,AFのみならずMTも細胞の力学特性へ寄与するが,その程度は細胞種,変形モードにより様々であり得ることが示された。
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