配分額 *注記 |
32,100千円 (直接経費: 32,100千円)
2006年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
2005年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2004年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
2003年度: 15,800千円 (直接経費: 15,800千円)
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研究概要 |
医療の場の診断や治療のための血管の細胞・組織の情報は測定から得られる一方,数値解析は細胞・組織の挙動を数学的にモデル化・記述することで測定を超えた現象の予測を可能とする.本研究では,大動脈由来培養内皮細胞や大動脈壁の損傷に関連した力学的挙動を数理モデルによって再現あるいは予測可能にするため,特に3次元構造を考慮して,実験と理論からなる研究を実施した. 細胞については,アクチン細胞骨格のリモデリング現象を損傷現象の一種と捉え,ブタ大動脈由来培養内皮細胞のシリコン基質膜伸展下での3次元的変形と基質繰返し伸展下での細胞内アクチンストレスファイバーの3次元的形成について,共焦点レーザ走査型顕微鏡と有限要素法によって測定から数学モデルによる再構築と予測まで行えた.非圧縮等方のneo-Hooke体モデルは細胞頂上部の測定困難な領域を除いて平均誤差0.3μm(n=6)で細胞の変形形状を再現し,弾性体として近似可能な変形が見られた.繰返し変形による細胞内ストレスファイバーの配向は細胞底面ではひずみ約5%を上限とするひずみ限度仮説に従い,細胞上部では他の因子の考慮が不可欠であった.また,衝撃波に曝した培養内皮細胞の増殖率を測定した.5発の衝撃波作用後,2〜4時間経過した細胞密度はコントロールと比較して明らかに増加して増殖能が増加した.さらに,血管組織については,到達温度-80℃での凍結損傷を受けたブタ胸大動脈壁の応力-ひずみ関係と微細構造を測定し,構成要素の構造と力学的性質に基づく力学的挙動のモデル化と記述を行った.大動脈壁は凍結損傷により軟化したのではなくむしろ硬化した.これは構成要素,特に膠原線維の構造・力学的変化に起因すると推察された.
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