配分額 *注記 |
40,800千円 (直接経費: 40,800千円)
2006年度: 10,200千円 (直接経費: 10,200千円)
2005年度: 8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
2004年度: 10,200千円 (直接経費: 10,200千円)
2003年度: 11,900千円 (直接経費: 11,900千円)
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研究概要 |
人の老化は活性酸素・フリーラジカルと脂質、蛋白、核酸などの分子との反応によって引き起こされる。生体内には、ビタミンE(α-,β-,γ-,δ-Tocopherol, TocH)、ユビキノール-10、ビタミンC、ポリフェノール類(フラボン類、カテキン類)などの、種々の抗酸化剤が存在し、活性酸素・フリーラジカルを速やかに消去し、老化を防いでいる。本研究においては、上記の抗酸化剤について、i)フリーラジカル消去作用、ii)ビタミンEラジカル還元・再生作用、iii)一重項酸素(^1O_2)消去作用の速度論的研究を行ない、種々の興味ある結果を得た。以下にその主な例を示す。 1)Stopped-Flow分光光度計を用い、ミセル溶液中でビタミンE(α-,β-,γ-,δ-tocopherol)とユビキノールのAroxylラジカル消去速度(k_s)をpHを変えて測定した。k_sの値と種々の組織中の濃度の積の値を比較し、心臓、筋肉、臓、腎臓、脳のミトコンドリア中ではユビキノールが、血清中ではビタミンEがラジカル消去の高い活性を示すことを明らかにした。 2)Endoperoxideから発生させた^1O_2と、7種のフラボン誘導体、4種のカテキン類との反応を行い、これらのポリフェノール類がビタミンEに匹敵する速い^1O_2の消去速度(k_Q)を有することを明らかにした。k_Qの値が、脂質、蛋白、核酸に比べて速いことから、ポリフェノールが植物や食物の光劣化を防御していることを明らかにした。 3)ビタミンEの抗酸化反応によって生じるEラジカル(α-Toc・,β-Toc・,γ-Toc・,δ-Toc・)の生成・消滅反応の追跡を行なった。これらの反応に関与する反応式、すなわち、3元連立微分方程式の解を、4次のRunge-Kutta法を用いて求め、実測値との比較から、生成・消滅反応の速度(k_f and 2k_d)を求めることに成功した。Eラジカルの消滅は何れも2分子反応によって起こることが明らかになった。得られた結果から、ビタミンEラジカル類の生成・消滅ダイナミクス機構について詳細な検討を行った。 4)Double-Mixing Stopped-Flow分光光度計を用い、生体中における老化防御のKey反応として知られる、ビタミンCによるビタミンEラジカル(α-Toc・,β-Toc・,γ-Toc・)の再生反応速度(尾)を求めることに初めて成功した。k_rに及ぼす重水素置換効果を測定し、このような速い反応にはトンネル効果が寄与しないことを明らかにした。
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