研究課題
基盤研究(S)
約300アミノ酸残基により成るTRICチャネルA型とB型と命名した2つの相同な膜タンパク質が見出された。化学架橋剤や電子顕微鏡による解析で、そのホモ3量体構造の形成が示された。脂質二重膜での電気生理学実験では、K^+>Na^+=1.5の選択性を示す一価陽イオン透過性TRIC-Aチャネルの性質が示された。一方、TRICチャネルを完全に欠損する変異(TRIC-DKO)マウスは受精後10日目程度の胎児期に心拍停止により死亡した。心停止直前の心筋細胞では、過剰Ca^<2+>貯留に起因する小胞体の膨張がTRIC-DKOに認められた。心筋細胞Ca^<2+>シグナルの観察では、自発心臓拍動に対応するCa^<2+>強度が受精後8.5日のTRIC-DKO胎児で極端に減弱していた。高濃度カフェインによりリアノジン受容体チャネル仲介性の小胞体Ca^<2+>放出を活性化させた際には、逆にTRIC-DKOマウス心筋細胞でCa^<2+>放出量が逆に増加していた。さらに、TRIC-A(-/-)TRIC-B(+/-)の遺伝型の変異マウス(TRIC-MTマウス)は生後ほぼ正常に生育することが判り、次にそのTRICチャネルが欠乏している変異骨格筋についても解析した。TRIC-MTマウスの骨格筋小胞体膜では、K^+イオン透過率が低下して過剰な膜電位が生じ、リアノジン受容体チャネルのCa^<2+>放出が部分的に障害されていることも判明した。以上の結果を総合すると、心筋および骨格筋のTRICチャネルは、生理的条件下でリアノジン受容体チャネルのCa^<2+>放出に連動して、小胞体内へK^+を導くカウンターイオンチャネルとして機能することが考察された。
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