配分額 *注記 |
30,290千円 (直接経費: 23,300千円、間接経費: 6,990千円)
2005年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2004年度: 12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
2003年度: 13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)
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研究概要 |
本研究課題では、インターネット上に展開されるサービスオーバーレイネットワークのためのネットワーク計測技術を確立し、特にデータ転送中に得られる情報によってネットワークにおけるエンド間性能特性を把握し(インラインネットワーク計測と呼ぶ)、それをオーバーレイネットワークに提供することによって、エンドユーザ間の通信品質の向上を実現することを目標とした。 まず、インラインネットワーク計測を可能とするための条件である,(1)計測用パケット数が少ない,(2)他のトラヒックに影響を与えない,(3)素早く連続的に計測結果を導出可能,を満たす計測アルゴリズムを提案した.その後,提案したアルゴリズムをTCPに導入するための方式として,TCP層の下部にキューを設置し,TCPからIPにデータパケットが移動する際にパケット転送間隔を動的に調整することによって計測アルゴリズムを実現するImTCP方式を提案した. 次に、インライン計測によって得られた利用可能帯域に関する情報を利用し,ネットワーク内での優先度の低いデータ転送をTCPによって実現するバックグラウンド転送を行うImTCP-bg方式の提案を行った.本提案方式においては,計測された利用可能帯域の情報を用いてTCPコネクションの最大ウィンドウサイズを設定することによって,バックグラウンド転送を実現している.また,利用可能帯域の計測ができない,または正確でない場合にも,フォアグランドトラヒックに影響を与えないデータ転送を実現するために,データパケットのラウンドトリップ時間を監視することでネットワーク輻輳を早期に発見する手法を提案した. 最後に、高速ネットワークで利用可能なインライン計測手法を提案した。提案手法は高速ネットワーク環境によって発生するパケットのバースト転送を逆に利用し、パケット送信間隔を調整することなく高い利用可能帯域を計測することができる。シミュレーション結果から、提案手法が数Gbpsの利用可能帯域でも計測可能であることがわかった。さらに、既存のパケットストリームを用いた手法に比べて、計測に使用するパケットが1/100程度になることもわかった。また提案方式を導入したTCPが従来のTCPと同じデータ転送性能を持ちながら、数RTT程度という短い間隔で計測結果を導出することもわかった。
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