配分額 *注記 |
34,710千円 (直接経費: 26,700千円、間接経費: 8,010千円)
2005年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2004年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2003年度: 20,150千円 (直接経費: 15,500千円、間接経費: 4,650千円)
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研究概要 |
資源の有効利用,環境保護の面から,使用済み材料,特に鉄鋼材料のリサイクルは国家的および世界的規模で重要な課題となってきている.しかし,市場から回収されるスクラップには,鉄鋼材料で熱間加工性を劣化させるSnやCuなどの不純物が混入し,これらの不純物の粒界偏析に起因して著しい脆化が生じる.本研究は,粒界工学的手法によりリサイクル材料の材料特性劣化に対する方策を構築することを目的として行われたものである.得られた主な成果を下に示す. 1.磁場作用を利用した粒界偏析および偏析脆化の制御:粒界偏析の抑制方法について検討した.その結果,Fe-Sn合金を強磁性温度域の973Kにおいて磁場中焼鈍(H=1〜6T)を行うことにより鉄鋼材料の脆化の原因となるSnの粒界偏析が抑制され,破壊靱性値が著しく向上することが見出された.磁場中焼鈍されたFe-Sn合金の破壊靱性値は磁場強度の上昇とともに大きくなった. 2.磁場中焼鈍されたFe-Sn合金の磁気特性:磁場中焼鈍されたFe-0.8at%Sn合金を,振動試料型磁力計(VSM)を用いてそれらの磁気特性を測定した結果,磁場強度の増加とともに抗磁力が小さくなり,軟磁性特性が向上することが明らかとなった. 3.粒界偏析に鈍感な粒界微細組織の導入:不純物の粒界偏析に鈍感な粒界微細組織の導入方法について検討した.Fe-Sn合金を急冷凝固法により作製することにより,粒界偏析に鈍感な対応粒界の存在頻度を高めることができることを見出した.通常の加工熱処理により得られる低Σ対応粒界の頻度が約20%程度であるのに対し,急冷凝固法により作製された試料の対応粒界頻度は約45%と2倍以上になった.室温における曲げ試験を行った結果,対応粒界頻度が低い通常の加工熱処理試料では,ほとんど塑性変形することなく脆性的に破壊するのに対し,対応粒界頻度が高い急冷凝固試料は装置の制約内において破壊することなくよい延性を示した.
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