研究分担者 |
海野 徳仁 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (30004477)
松澤 暢 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (20190449)
三浦 哲 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (70181849)
岡田 知己 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (30281968)
矢部 康男 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (30292197)
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配分額 *注記 |
40,950千円 (直接経費: 31,500千円、間接経費: 9,450千円)
2006年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2005年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2004年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
2003年度: 13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
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研究概要 |
本研究では,東北日本太平洋下のプレート境界における固着とすべりの詳細を明らかにし,プレート境界地震の発生機構を理解することを目指して,1.相似地震の解析,2.広帯域地震波形に基く大中地震の震源過程の解析,3.GPSデータ解析,4.シミュレーションによるアスペリティの性質の研究,を進めてきた. その結果,相似地震解析では,北海道から東北日本に至る太平洋下のプレート境界全域において相似地震を検出することにより,2003年十勝沖地震後の破壊域周辺のプレート間すべりの時間発展の推定を行うことができた.地震波形に基く震源過程の解析では,2005年8月16日宮城県沖地震(M7.2)の破壊域は,前回の1978年宮城県沖地震(M7.4)の破壊域の南東部分と重なることを明らかにし,割れ残った北側と西側のアスペリティの活動の推移に今後注視すべきことを示した.さらに,1930年代の宮城県沖地震の余震の再解析を行い,前々回の宮城県沖地震では3つのアスペリティが別々に滑った可能性があることを示した.GPS解析では,2005年の宮城県沖地震後に破壊域の南側に拡がる余効すべりを検出した.これは地震波形のインバージョン解析から得られた北側と西側のアスペリティが割れ残っていることと符号する.シミュレーション解析の結果,陸に近いプレート境界深部で観測された余効すべりの伝播速度を説明するためには,プレート境界域での間隙圧が極めて大きくなければならないことを明らかにした.一方,海溝に近いプレート境界浅部で観測される余効すべりの伝播速度を説明するためには,上記のような大きな間隙圧を必要としない.これらは,脱水反応によりプレート境界に供給される水の量あるいはプレート境界域の透水係数の深さ変化を示唆している. 以上のように,本研究により,プレート境界地震の発生機構の理解を進展する上で重要な成果が得られた.
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