配分額 *注記 |
50,180千円 (直接経費: 38,600千円、間接経費: 11,580千円)
2005年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
2004年度: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
2003年度: 28,730千円 (直接経費: 22,100千円、間接経費: 6,630千円)
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研究概要 |
本研究では「非線形制御を適用して電力をほとんど必要としない,損失のほとんど無い全く新しいタイプの磁気軸受で支持されたフライホイールの研究開発」を実施した.小容量フライホイールの開発は総合的な技術力を必要とする総合的な研究で広範囲な分野をカバーするが,本研究では電流をほとんど流さない新方式の磁気軸受を実現することで,本来のフライホイールのエネルギー効率を格段に向上しようとするものである.そして,以下に述べる視点から焦点を絞った研究を行った. すなわち,(1)バイアス電流を必要としない電磁石のみの全く新しい非線形ゼロパワー磁気軸受の実現と動特性の解明,(2)この画期的な制御アルゴリズムで実現される超低損失フライホイールのエネルギ貯蔵効率についての検討,(3)フライホイール・常電導磁気軸受の最適設計とその性能の解明,(4)フライホイール・磁気軸受系の剛体モード危険速度通過応答と運動安定性の解明,(5)一般産業用・商業用フライホール,とくに、クリーンエネルギーへ大きな期待がかかっているハイブリッド自動車、電気自動車への実現化可能性についての基礎研究を行った. まず,(1)に関して,電磁石のみを用いてバイアス電流を一切流さないゼロパワー制御を実現した.著者らはすでに基礎研究においてこの技術を完成させており,本基盤研究ではエネルギ貯蔵用のフライホイールシステムへの適用をターゲットにして,縦型4軸ラジアル制御を8入力の非線形制御系として実現した.その際,閉ループ系の安定性はリアプノフ安定理論により大域的漸近安定性は保証される.すでに,著者らは基礎研究において安定性の証明を終えている.本研究では,ジャイロ効果の影響や非干渉非線形ゼロパワー制御や分散型と集中型非線形ゼロパワー制御などについて研究した.(2)はバイアス電流を全く必要としないことから,渦電流損失が激減し超低損失フライホイールが実現できた.本研究では,どの程度の回転損失を有するか,またエネルギ貯蔵効率はいくらかを定量的に研究した.(3)は常電導磁気軸受とフライホイールの同時最適化に関する研究できわめて重要な課題である.(4)は超高速回転時のフライホイールが剛体モードの危険速度を通過する際の振動制御の性能に関するものである.(5)については,エネルギ貯蔵効率と経済効率そしてコストに関する研究で実用化を意識した研究である. 実際にゲインスケジュール型切換え制御をいくつかの制御法を適用することで,これまで不可能であった300Hzの回転数まで安全に高速回転可能することに成功した.
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