研究分担者 |
小尻 利治 京都大学, 防災研究所, 教授 (00026353)
角 哲也 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40311732)
竹門 康弘 京都大学, 防災研究所, 助教授 (50222104)
遊磨 正秀 龍谷大学, 理工学部, 教授 (80240828)
占部 城太郎 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (50250163)
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配分額 *注記 |
39,390千円 (直接経費: 30,300千円、間接経費: 9,090千円)
2005年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2004年度: 12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
2003年度: 18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
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研究概要 |
「流域生態系の階層構造の研究」:河川の階層構造概念を整理し,淀川水系等の数河川について流域区分,セグメント類型,河川地形類型を検討した.賀茂川の河床間隙水域を含む砂礫堆スケールの環境構造を明らかにした.淀川流域を対象としてダム操作を陽に考慮した広域分布型流出予測システムを開発した.木津川下流域について河床地形と植生様式に基づくセグメント分類を行なった. 「土砂動態と河川形態の対応関係に関する研究」:紀ノ川の河道に堆積する土砂量を電気探査,音波探査,写真測量により推定し河川形態の対応を調べた.黒部川のダム排砂および天竜川小渋ダムの密度流排出に関する現地調査を実施し,SS濃度変化などの土砂動態に対するダム貯水池の影響について考察した.黒部川のダム排砂時に3Dレーザスキャナを用いて貯水池内堆積土砂の侵食過程を調査した.試験堰堤からの排砂に伴う瀬-淵スケールの河床地形変化を流程に沿ってモニタリング調査し,土砂移動と微地形変化の過程を記載した. 「階層構造と生息場所機能の対応関係」:魚類や水生昆虫の産卵場所条件として,河床勾配・流速・フルード数・河床材の透水係数などの要因を通じて,瀬-淵スケールの分布が決まることが分かった.この対応関係から,流域スケールないし流程スケールにおいて土砂供給量が変化した場合の,魚類や水生昆虫の繁殖成功度を予測した. 「階層構造と物質循環機能の対応関係」:現場調査によって木津川下流域のセグメント類型に応じた粒状有機物の供給・捕捉機能の評価を行なった.東北と関西の17河川で付着生物の成長律速要因を野外バイオアッセイ法により分析した.河床の付着生物量は栄養塩濃度よりも有機物供給量,流速,水温に依存することや,有機物負荷によって付着基質を巡る競争や被陰効果などにより付着藻類の現存量が減少させることが分かった.貯水ダムのフラッシュ放流に伴う流下粒状有機物の組成を分析した結果,砂州地形の発達した自然河道域では,河道内や砂州の水辺で生産された有機物の割合が高く,物質循環の輪廻単位距離が短いと予測された. 「流域生態系機能のための適正な土砂供給量の推定」:土砂供給の程度が様々な河道において,河床微地形と生物群集構造の比較し,中程度の土砂供給量ならびに頻度が生息場所多様性と生物多様性を高める証拠を収集した.阿武隈川三春ダムおよび九頭竜川真名川ダムにおける土砂供給を組み合わせたフラッシュ放流試験に関して現地調査を実施し,流砂環境の回復による河床礫上の付着藻類の剥離更新促進などの河川環境改善効果を示した.
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