配分額 *注記 |
28,860千円 (直接経費: 22,200千円、間接経費: 6,660千円)
2005年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2004年度: 11,570千円 (直接経費: 8,900千円、間接経費: 2,670千円)
2003年度: 13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)
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研究概要 |
Nd-Fe-B合金は現在最も高性能な永久磁石用材料として知られており,400kJm^<-3>を越える高いエネルギー積が報告されている.しかしながらこの合金は包晶化合物のため,通常の溶解凝固法ではα-Fe相が残存してNd_2Fe_<14>B相のハード磁気特性を損なうことが問題とされている.この点から本研究では,無容器溶融法による過冷メルトのスプラット急冷を利用してα-Fe相のないNd_2Fe_<14>B磁石を直接成型するニアネットシェィプキャスティング技術の確立を目指した. 15年度は鋳型を穿った急冷銅板によるスプラット急冷法の確立を図った.次いで16年度はドロップチユーブによる実験を実施し,過冷メルトからの相選択挙動,特に直径が500μm以下の液滴では準安定Nd_2Fe_<17>B,の単相が得られることを明らかにした.そして最終年次の17年度はその準安定相について生成条件と焼鈍時の相相変態挙動から,準安定相からNd_2Fe_<14>B相を得るための合金組成とプロセス条件の最適化を図った.その結果,準安定相の体積率は合金組成によらず試料径の減少とともに増加し,また過包晶組成では準安定相とNd-rich相との反応によりα-Fe相のないNd_2Fe_<14>B相が短時間の焼鈍で生成することから,スプラット急冷法と組み合わせることにより過冷メルトから直接α-Fe相のないNd_2Fe_<14>B磁石のネットシェイプキャスティングが可能なことを導いた.一方,直径が1mm以上のas-dropped試料では過包晶組成においても準安定相の分解によるNd_2Fe_<14>Bとα-Fe相から成るパーライト状の組織が観察され,DTA,TMAによる焼鈍時の相変態挙動の解析から,as-dropped試料では準安定相を優先サイトとするNd_2Fe_<14>B相の晶出が,準安定相をNd-rich相から"遮蔽"し,準安定相自身のNd_2Fe_<14>Bとα-Fe相への分解を促す結果となることを明らかにした.この結果は当初予測しなかったものではあるが,α-Fe相を微細分散させた新しいタイプのナノコンポジット磁石への途を拓く注目すべき結果である.
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