研究分担者 |
土戸 哲明 関西大学, 工学部, 教授 (50029295)
後藤 祐児 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (40153770)
馬越 大 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (20311772)
吉本 誠 山口大学, 工学部, 助教授 (80322246)
島内 寿徳 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (10335383)
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配分額 *注記 |
43,680千円 (直接経費: 33,600千円、間接経費: 10,080千円)
2005年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2004年度: 12,740千円 (直接経費: 9,800千円、間接経費: 2,940千円)
2003年度: 27,300千円 (直接経費: 21,000千円、間接経費: 6,300千円)
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研究概要 |
本研究課題では,ストレス負荷条件でのタンパク質の構造異常ならびに細胞膜との動的相互作用を特徴付ける『局所的疎水性(LH)・ゆらぎ』に着目し,これらを体系的・定量的に解析・制御する手法の確立を目的としている.そのケーススタディーとして,アミロイド性タンパク質Amyloid-β(Aβ)を初めとする各種タンパク質の構造異常性を解析・診断するシステムを開発する事を目標とする.過去2年間において,タンパク質の構造異常性に関するデータベースの構築とセンサシステムの整備,ならびにタンパク質の構造異常性とアミロイド線維形成の関わりについて検討してきた.最終年度である平成17年度は,これらに基づき,タンパク質の構造異常性の解析・診断方法の開発の可能性について検討した. まず,種々のストレス条件下でのタンパク質の構造状態に関するデータベース(H.15年度達成項目)に基づき,タンパク質の構造異常を修復する適切な条件(ストレス負荷条件,脂質組成,添加物質の選定)を探索した結果,ドメイン構造を有する不均一脂質膜界面の必要性が示唆された.さらに,ドメイン構造は(i)ストレス条件(熱,pH条件やイオン強度など)や(ii)アルコール/脂肪酸/生理活性物質の共存効果によって誘導できる事を示した.特に生理活性物質としてコレステロールを選択して不均一脂質膜を構築すると,Aβとの相互作用を制御でき,かつ,脂質膜上でのAβの酸化酵素様機能の制御にも深く関与し,その本質はリポソームのナノ疎水場におけるペプチド主鎖の水素結合安定性であることが示された.さらに,ドーパミンやその酸化誘導体によるアミロイド線維可溶化が脂質膜のドメイン構造により制御されることを見出した.さらには,ストレス負荷状態の異なるリポソームをアレイ化したチップにより構造異常性の解析が達成されることを示した.以上の知見を総合し,アミロイド線維形成の生理学的知見と結びつけて,脂質膜(リポソーム)を利用したタンパク質の構造異常性の解析・診断方法を総括した.
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