研究課題
基盤研究(A)
mRNAサーベイランス(mRNAの品質監視機構)、或いはナンセンス依存mRNA分解(NMD, nonsense-mediated mRNA decay)は、異常タンパク質をコードするナンセンスmRNAを特異的に識別し、分解・排除する機構である。これまで酵母や線虫の遺伝学と哺乳動物培養細胞を用いた生化学的な解析が行われてきたが、哺乳動物における分子機構や生理機能、さらには病理的な意義に関しては調べる手だてがなく、不明の点が多かった。本研究では、NMDの分子機構の更なる解明と同時に、その成果を利用して、NMDの操作が、医学・医療面でどのような応用可能性を有するかを探る事を目的とした。線虫の遺伝学の成果をもとにして、ほ乳類のNMDに関わるタンパク質群を同定する作業を通じて、SMG-1によるUPF1のリン酸化の重要性を発見した。私たちはmRNAサーベイランス系におけるナンセンスコドン認識(ナンセンスコドンを有する異常mRNAの認識)過程にhSMG-1によるhUPF1のリン酸化反応と、それに触発されたhUPF1を含むサーベイランス複合体の構造変化が中心的な役割を果たしていることを示す様々な証拠を手に入れてきている。サーベイランス複合体の実体解明に特に焦点を絞り、SMG-1と直接相互作用する分子の解析やSMG-1自身の構造機能相関の解析を進めた。ところで、NMDは本来的には、ナンセンスMRNAにコードされる異常タンパク質の有する毒性から細胞を守る防御機構と考えられる。しかし、免疫系の昂進がときとして生体に害を及ぼすことがあるように、NMDがときと場合によっては生体に害を及ぼしている可能性がある。このような可能性を検討する目的で、NMDの異常コラーゲン遺伝子に変異を有するUrllrich病筋ジストロフィー症の患者の線維芽細胞を用いた解析を行った。その結果、この患者の細胞では、NMDが、細胞の異常に大きく関わっていることを見出した。NMDを鎖害することにより、上記の細胞で見られた異常が回復した。この患者の変異に関しては、変異タンパク質が全く発現しなくなることが症状の重篤化に大きく作用しているが、NMDを阻害して変異タンパク質を発現させることにより、症状を緩和出来たことになる。
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