配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2006年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2005年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2004年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2003年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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研究概要 |
拡延性抑制(SD)とは、神経細胞の一過性脱分極現象であり、脳内直流電位上では伝搬性の波紋として観察される。このSD現象は、てんかん発作誘発性電気的刺激や、膜ポンプ機能の低下を招く化学的刺激(塩化カリウムの局所注入)で誘発することができる。脳の胎生期には、SD様の一過性細胞内カルシウム流入の波現象が観察されているが、その意義は不明である。本研究では、SDを繰り返し脳内にて発生させることで、脳室下壁に存在する神経幹細胞を活性化し、それらの細胞分裂を促進する。また、前頭脳室下壁における幼弱神経細胞の数を増加させ、さらに、同箇所以外、基底核、あるいは、脳皮質といった幼若神経細胞とは無縁と考えられた領域に、新たな神経細胞を生じさせることを明らかとした(2005,36,1544-50,Stroke)。そして、このSD刺激後に観察された脳内幹細胞の活性化には、脳内において普遍的に存在している神経栄養因子の一種、脳由来神経栄養因子(BDNF)の産生増加が関与すると考えられた。しかしながら、BDNFを増やすための塩化カリウムの脳内注入手法を、そのまま臨床へ応用することは困難であった。 脳内BDNFを増加させるため、SD刺激以外の、さらに安全な手段があれば、神経幹細胞を活性化できる可能性がある。電気的な刺激手段を用い、脳内BDNFを安全に増加させる新たな技術の開発を試みた結果、生体に対する高電圧印加が、脳内BDNF量を有意に増加させることを発見した(2006年、米国神経科学学会発表)。一定の高電位刺激がマウス脳内のBDNFを安全、かつ、有意に増加させることを確認し、その時間経過、印加電圧と脳内BDNF量との関連、増加したBDNFによる脳保護効果の検討、さらに、それによる記憶能の変化に関する検討を行った(2007年、国際脳循環代謝学会発表、2007年、米国神経科学会発表予定)。
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