研究課題
基盤研究(A)
中国側共同研究者との提携の下に、二酸化硫黄の濃度が比較的高く、濃度勾配法関連測定機材など現地における測定機材ならびに測定協力者等との関係を考慮して、中国北部地域として、北京、蘭州、大同などを選び、フィールド測定により、二酸化硫黄やオゾンの乾性沈着を測定してきた。これまでの調査は、日本側-埼玉大学、国立環境研究所、中国側-環境科学研究院大気環境研究所、中日友好環境保護センターによる緊密な連携の下に実施され、中国における乾性沈着の測定におけるデータ取り込みシステムと二酸化硫黄、オゾン計等の測定装置からなる測定システムが構築され、その利用によりフィールド測定データが得られたものである。中国においても、大都市部ではモータリゼーション等による窒素酸化物や揮発性炭化水素の排出増に伴い・光化学スモッグが発生しており、これらの状況を考慮し、土壌粒子表面上での硫黄酸化物の沈着・酸化機構を解明するために、円筒型流通式反応器により沈着実験を行い、黄土への二酸化硫黄の沈着量、ならびに沈着後のS(IV)からS(VI)への酸化に与える、光化学反応に伴い発生する硝酸ガス・アルデヒドならびに湿度の影響を調査した。二酸化硫黄の黄砂への沈着に対して、水分は促進に、硝酸は抑制に働き、酸化に対しては、硝酸ガスと湿度は促進に、ホルムアルデヒドは抑制に寄与することを明らかにした。また、室内モデル実験により広範な地域から採取した塩基性土壌に対する二酸化硫黄とオゾンの沈着、塩基性土壌によるそれらの取り込み速度の柑対値を求めた。今後はこれらの室内実験データと室内モデル実験による結果の比較解析を行い、中国の塩基性土壌への二酸化硫黄の乾性沈着等による消失量を推定する予定である。
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