配分額 *注記 |
25,480千円 (直接経費: 19,600千円、間接経費: 5,880千円)
2005年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2004年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2003年度: 15,470千円 (直接経費: 11,900千円、間接経費: 3,570千円)
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研究概要 |
本研究はシベリア永久凍土地帯で頻発する森林火災,その大部分を占める地表火の影響を火災後の炭素固定能力の変化及び植生回復状態で評価しようとするものである。ロシア連邦サハ共和国ヤクーツク市郊外のカラマツ成熟林において火入れ処理実験を行い,火災後の樹冠部における光合成機能の変化を測定するとともに,2002年に強度の地表火により壊滅したカラマツ林の植生回復状態を3年間にわたり調査した。これらの操作実験と調査の結果から以下のことが分かった。1.実験林床の焼失有機物量は48%となり,地表火の強度は軽〜中程度と見なされる。2.火入れ処理時の最高地表温度は485℃にまで上昇し、地表下5cmにおいて最高地温は116℃,50℃を超えた時間帯は3時間ほどであった。地表下10cm,15cmでは最高地温は50℃,数時間で火入れ前の地温に戻った。3.深さ50cm前後の土壌層の物理性には大きな変化は生じていないが,対照区,火災区とも体積含水率や土壌水圧の変化から水分動態は乾燥傾向にあることを示している。火災区は僅かではあるが表層の含水率の低下が対照区より小さく,林床植生焼失による影響が出ている可能性がある。冬季までの地温観察から,火災区では土壌凍結が対照区より約1ヶ月遅く,土壌水分量が多くなっていたと推察できる。4.カラマツの光合成は1回目の火入れ処理による影響が大きく現れた。これは林床植生のコケモモの焼失による土壌水分の余剰の効果とみることができる。より高温となった2回目の火入れ処理により根系地際部に障害が起こっている可能性があるが,それを確認するには今後数年間の観察を継続する必要がある。5.2002年の地表火で壊滅したカラマツ若齢林からの炭素放出量は,34〜37tC/haと推定された。6.火災跡地の植生回復は,火災強度と土壌表層の水湿状態を反映した回復速度と種組成を示しており,カラマツ実生は乾性タイプの立地で多く発生していた。
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