研究分担者 |
荒井 修亮 京都大学, 大学院情報学研究科, 助教授 (20252497)
赤松 友成 独立行政法人水産総合研究センター, 水産工学研究所, 主任研究官 (00344333)
綿貫 豊 北海道大学, 大学院水産科学研究院, 助教授 (40192819)
坂本 亘 近畿大学, 水産研究所, 教授 (50013587)
高橋 晃周 国立極地研究所, 研究教育系, 助教授 (40413918)
内藤 靖彦 国立極地研究所, 研究系, 教授 (80017087)
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配分額 *注記 |
32,240千円 (直接経費: 24,800千円、間接経費: 7,440千円)
2006年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2005年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2004年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2003年度: 13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
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研究概要 |
小型の電子記録装置を動物に搭載するバイオロギング手法は,水生動物の生息域を大きく左右する海洋環境を把握するのに有効な手法となりうる.本プロジェクトでめざしたのは,動物の行動を周辺環境と共にモニタリングする新しい手法を開発することであった.熱帯から南極域に至る広範囲で野外調査を実施した.対象動物もまた,魚類・爬虫類・海鳥類・海産哺乳類と多岐にわたった. 例えば,ベーリング海に浮かぶセントジョージ島で繁殖を行うハシブトウミガラスは,子育て期間中に周辺海域で餌取りを目的として潜水行動を行うが,彼らの潜水深度が現場の水温躍層と深い関係を有することが判明した.鉛直混合が進んだ海域で潜水を行う場合,彼らは深度80m前後の潜水を繰り返して餌を捕獲していた.ところが,水温躍層がある海域においては,水温躍層をめざした潜水を繰り返し行っていた.水温躍層によって,彼らの餌となる小魚類の滞在深度が左右され,それに対応して高次捕食動物のハシブトウミガラスは潜水深度を選択していたと解釈できる. 別の例では,ドイツ南極基地周辺で行われたウェッデルアザラシ調査において,アザラシに搭載したカメラによって得られた画像から,南極海の厚さ150mの棚氷の下面に刺胞動物のような固着性生物が高密度に分布することが初めて明らかになった.近年の地球温暖化により,南極海の棚氷が広範囲にわたって崩壊する事が報告されている.棚氷の崩壊により,下面に付着する高密度の動物,およびその周辺に形成される生態系もまた崩壊している事を示唆するものである. 数々のフィールド調査と個々の具体的成果より,海洋高次捕食動物は海洋環境モニタリングのプラットフォームとして有効であり,動物搭載型の各種小型記録計は動物自身の行動や生理を,周辺環境に照らし合わせて解釈するのに大いに役立っことが明らかとなった.
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