配分額 *注記 |
33,540千円 (直接経費: 25,800千円、間接経費: 7,740千円)
2006年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2005年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2004年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2003年度: 14,300千円 (直接経費: 11,000千円、間接経費: 3,300千円)
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研究概要 |
タイ熱帯季節林に生育するフタバガキ科樹木では,常緑樹種に比べて落葉樹種の方が小さい道管を持つ傾向にあった.特に乾燥落葉林のフタバガキ科では小道管の割合が高く,そのサイズ分布は2型性(vessel dimorphism)を示した.小道管は乾季における道管閉塞の危険を減らす意義があると考えられた.多くのフタバガキ科樹種では,樹幹部の地上高が大きくなるにつれて道管密度が大きくなり,道管の平均内腔面積は小さくなる傾向が見られた.タイ熱帯季節林のひとつである落葉フタバガキ林では,樹種によって乾季の水利用の仕方が異なることが,水素同位体の分析,樹液流量の測定,材の解剖学的解析から示唆された.各樹種は根の深さ,蒸散の抑制,小道管形成,順次落葉などのやりかたで効率的な水利用を行い,雨季の開始前から開葉・開花を行っているものと考えられた. ボルネオのキナバル山に広がる熱帯山地林において,水分条件には差がなく土壌条件の異なる2つの森林を比較したところ,蛇紋岩を基岩とする貧栄養の土壌に生育する7樹種では,堆積岩を基岩とするとする土壌に生育する6樹種に比べて,樹高が小さく厚い葉を持っていた.材密度,道管内腔面積,道管密度には土壌の違いによる差は全体としては見られなかったが,同属の樹種間で比較すると蛇紋岩の樹種では密度が大きく,道管内腔の小さいものが見られた.P-V法によって求めた水分生理の測定値でも,蛇紋岩の樹種が生理的乾燥に曝されている可能性が示唆された.山地林に生育する樹種は,その最大樹高に応じて材の密度や道管径に違いがあり,乾季により厳しい乾燥ストレスがかかる林冠樹種では細胞の浸透圧調整などによって乾燥を回避していることが示唆された.
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