配分額 *注記 |
16,500千円 (直接経費: 16,500千円)
2006年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2005年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2004年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
2003年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
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研究概要 |
良好なソーシャル・コミュニケーション(SC)の確立と維持には、言語以外に他人の表情・動作などの認識と理解が不可欠である。本研究の目的は、相手の言動・表情の意図の理解、すなわちSCに関わる脳機能とその脳内ネットワークを非侵襲的に解明することである。 動作や表情およびそれらを示唆する静止画像等の視覚情報と同様に,動作を示唆する非言語性聴覚刺激や触覚情報を用い,その聴取(観察)および再現(模倣)時における脳活動の評価を行なった.その結果一次体性感覚野に加えて後下前頭部(特に左半球)の賦活を認め,マルチモダリティーによる情報の理解にHMNSが関与していることを解明した.特にSCにおいて他者の視線は重要な要素である.視線の理解とHMNSの関係についても解明した.その結果HMNSの活動の大きさは,口唇形状認知の場合と同程度であったが,視線が内含する他者の意図によりHMNSの活動強度が変化することを示した. HMNSの存在するブローカ野の,前方部Brodmann45野(BA45)と後方部BA44の機能の相違を,ダイナミック磁気共鳴分光法を用い,BA45は言語性情報の処理を,BA44は動作等の非言語性情報の処理を,それぞれ主として担っていることを明らかにした. HMNSの臨床応用として,動作や表情の観察・模倣によるHNMSのメカニズムを,模倣の困難なアスペルガー症候群の患者や認知機能障害にて,また書痙の患者において他者の書字の観察・模倣・実行における脳活動の比較を行った. その結果,両側後下前頭部(左側ブローカ野と右側相当領域)のHMNSの活動変化が認められた. 以上の本研究課題により,HMNSを中心とした,SCに関わる脳内ネットワークのメカニズムが解明され,HMNSがToMの中心的役割を担っていることが示唆された.さらに神経疾患の病態解明において,HMNSを介した模倣が有効であることを示した.
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