研究課題
基盤研究(B)
1999年に申請者が報告した2種類のNELLタンパク質(NELL1,NELL2;アミノ酸相同性550%)は、EGF様配列6個及びvWF-C様配列5個を併せ持つ約140kDaモノマーが3量体形成した約420kDaの分泌性タンパク質である。N末端側半分はトロンボスポンジン1(TSP1)と類似しているが、同じドメイン構造を有するタンパク質は他になく、新しいタンパク質ファミリーに属する。NELLタンパク質及びmRNAは、胚から成体に至るまで主に神経冠由来細胞に発現することが分かっている。また、申請者ら、NELL1 mRNAが頭蓋骨癒合症患者の患部において著量発現する、NELL1タンパク質を骨芽細胞に作用させると骨形成を誘導する、NELL1トランスジェニックマウス新生仔は頭蓋骨癒合症を呈す、NELL2タンパク質及びmRNAはラット海馬において著量発現する、NELL2タンパク質は初代神経培養細胞の生存維持活性を有する、NELL2ノックアウトマウスは正常に発生するが、記憶の長期増強(LTP)が亢進する、そしてNELL1及びNELL2タンパク質は、TGFβファミリー受容体及びリガンド、EGFファミリー受容体、bFGF受容体Wnt受容体、NGF受容体に対して直接相互作用しないなどを明らかにしている。本研究では、今まで精製NELLタンパク質を得る事が極めて困難であったが、昆虫細胞、無血清培養及び改良型分泌シグナルを組み合わせることで、NELLタンパク質を安定かつ大量に得る事に成功し、(1)新規なタンパク質ファミリーであるNELL1及び2タンパク質の結晶化を行い、X線立体構造解析を行った。(2)NELL1及び2の標的細胞が明らかだったので、内在性NELL結合タンパク質(含、受容体)を生化学的方法により単離同定した。(3)NELL1及び2の標的細胞、及び既に樹立しているNELL1トランスジェニックマウス、NELL2ノックアウトマウスを用いて、プロテインキナーゼ群、転写因子群、発現遺伝子群の挙動を解析し、NELLタンパク質が含まれる細胞内シグナル伝達機構の全体像を明らかにすることができた。
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