研究課題/領域番号 |
15300135
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉村 恵 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10140641)
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研究分担者 |
古江 秀昌 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (20304884)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
12,800千円 (直接経費: 12,800千円)
2004年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
2003年度: 7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
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キーワード | TRPV1受容体 / 脊髄深層細胞 / 熱情報 / カプサイシン受容体 / 膠様質細胞 / EPSC / in vivo パッチクランプ記録 / ノックアウトマウス / 熱受容体 / カプサイシン / 膠様質 / in vivoパッチクランプ記録 / 脊髄後角 / in vivoパッチクランプ / VR1受容体 / 熱応答 / サブスタンスP |
研究概要 |
感覚受容体の分子実体は、カプサイシン受容体VR1(TRPV1)のクローニングを緒として、様々なTRP受容体ファミリーが明らかにされてきた。TRPV1の発現系を用いた実験から、カプサイシンのみならず、熱およびプロトン受容体であることが明らかにされてきた。しかし、TRPV1が生体内において、いかなる生理機能を果たしているかは明らかではない。そこで、TRPV1ノックアウトマウスを用い、末梢熱刺激によって誘起される熱応答の変化を、in vivoパッチクランプ法を用いて解析した。熱情報を伝えるC線維は主に脊髄後角の膠様質(SG)細胞に終末する。そこで、SGからパッチクランプ記録を行い、熱刺激によるシナプス応答の記録を試みた。正常マウスを用いた実験では、予想に反し記録した全ての細胞で熱応答は記録されなかった。そこで、SG細胞に入力するC線維がTRPV1受容体を発現しているか否かを検討した。その結果、ほぼ100%の細胞で、カプサイシンは前シナプス性に微小EPSCの頻度を増加させた。この実験結果は、SG細胞がTRPV1受容体陽性のC線維入力を受けていることを示しており、SG細胞が熱刺激に全く応答を示さない結果とは矛盾する。形態学的解析から、脊髄深層細胞のあるものは、その樹状突起を膠様質に伸ばしていることが示されているので、次にIII〜V層の細胞から記録をおこなった。約20%の深層細胞では熱刺激によって経過の速いEPSCの発生頻度と振幅が著明に増加した。しかし、緩徐な応答は見られなかった。それらの応答はCNQXでほぼ完全に抑制されたことから、グルタミン酸を介する応答と考えられた。これらの結果から、SG細胞はTRPV1受容体陽性のC線維入力を受けているが、そのTRPV1受容体は熱受容を伝達していない可能性が考えられる。そのことはTRPV1受容体には異なるサブタイプが存在することを示唆する。その他の可能性として、C線維の中枢終末側にはTRPV1受容体が発現しているものの、末梢では受容体を欠失している可能性がある。
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