研究課題
基盤研究(B)
WTC-dfkラットの原因遺伝子dfkの同定を目的とした。(WTC-dfk×ACI)F2交雑子を用いた連鎖解析により、dfkは第1染色体上の0.8cMの範囲にマッピングされた。Dfk座位の遺伝子のうち、Kcnq1をdfkの有力な候補遺伝子とし、WTC-dfkとWTCのKcnq1遺伝子の塩基配列を比較した。その結果、WTC-dfkラットでは、Kcnq1遺伝子エクソン7を含む2,040bpが欠失していることが明らかとなった。この欠失領域はイオンの通過するポア領域を含んでいることから、WTC-dfkのKCNQ1は機能を喪失していると考えられた。聴性脳幹反応により、WTC-dfkラットは難聴であることが示された。組織学的検査より、内耳構造の崩壊が観察された。KCNQ1の機能喪失によるK+イオンの供給不全が、内耳構造の崩壊を引き起こし、結果として、難聴と運動平衡失調をもたらすと考えられた。心電図検査では、KCNQI遺伝子に変異を持つヒト同様、QT間隔の延長が認められた。WTC-dfkラットは、その胃液がほぼ中性を示し、無胃酸症であった。胃の病理組織学的検査では、胃腺部において細胞の過形成が認められた。さらに、WTC-dfkラットの表現形質をより広範に調べるために、109項目からなる特性検査を実施した。その結果、WTC-dfkはWTCに比べ、高血圧を示し、Kcnq1が血圧の制御に関与している可能性を示唆した。Kcnq1は、心筋、消化管粘膜、内耳、腎臓、膵臓などで細胞内外のK+濃度調整に重要な役割を果たしている。WTC-dfkはWTCとコアイソジェニックの関係にあり、その表現型の違いはKcnq1遺伝子の変異に起因すると考えられる。WTC-dfkラットはKCNQ1の諸機能を解明する上で、またKCNQ1関連疾患の病態発症機構の解明と治療法を開発する上で有用なモデルを提供する。
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