配分額 *注記 |
15,700千円 (直接経費: 15,700千円)
2005年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
2004年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2003年度: 7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
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研究概要 |
ヒトが文章を読み理解するときに行われる文法(統語)処理に関する脳内の神経活動を時空間的に明らかにすることを目的として研究を進めた.まず、脳内活動源解析ツールの開発においては,脳磁図データから脳内の多領域に分散した活動を推定するL1ノルム法を使用し、ノイズを考慮した広範囲なシミュレーションを行った.その結果,双極子モーメントの重心位置を計算することで,約5mm以内の精度で3双極子源が推定でき,分散したモーメントの標準偏差は約15mm以内であることが分かった.さらに、複数の被験者にわたって脳内に推定された信号源について、その双極子モーメントをシミュレーションで得られた標準偏差を用いたガウス関数で分散させて加算し、標準の脳表面上に活動分布を可視化する方法を開発した。 「AはBがCを------するのを見た」で表される語順(canonical)の複文と,「CをAはBが------するのを見た」のように名詞句の順序を入れ替えたかき混ぜ(scramble)文の脳内統語処理に着目した.これらの文章を普通に読む速度となるように、句ごとに連続して視覚呈示し、MEG反応を計測、解析した。活動源解析ツールの手法に従って、計測した11名の被験者にわたる脳活動の総平均分布を得た結果,左脳の前頭前部,運動・感覚野,側頭後部,後頭部の5部位が被験者に共通の活動焦点領域として特定できた.ここで前頭前部と側頭後部は言語領野に,後頭部は高次視覚領野に相当する.運動・感覚野は本研究で新たに見出された領野であり,名詞句(主語と目的語)を転位させた文の統語的処理に関係すると推察された.体部位局在の位置は,正中神経刺激による誘発脳磁界の信号源位置と一致したことから,手の領域にあたることが分かった.これに対し,右脳では後頭視覚野と側頭後部、頭頂後部に焦点となる活動領域が見られ、前頭部や運動・感覚野には活動は見られなかった.
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