研究課題/領域番号 |
15300231
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用健康科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森谷 敏夫 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (90175638)
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研究分担者 |
林 達也 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (00314211)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
12,500千円 (直接経費: 12,500千円)
2005年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2004年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2003年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
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キーワード | 運動療法 / 筋電気刺激 / 糖代謝 / 機能的筋電気刺激 / 筋肥大 / 最大随意収縮 / 機能的電気刺激 / エネルギー代謝 |
研究概要 |
本研究は、機能的電気刺激の手法を用い、運動に制限がある人々の運動療法を確立しようとするものである。下肢の大筋群の運動量(エネルギー代謝)が最も高くなる電気刺激部位、刺激頻度、極性、収縮・弛緩サイクルの決定を行うため、健常者8名を対象に機能的電気刺激のコンピュータソフトの開発、実験検証を行った。さちに同一運動強度(酸素摂取量)での髄意運動下肢筋群での(自転車漕ぎ)と筋電気刺激時におけるエネルギー代謝特性(糖・脂質代謝量)、並びに心臓自律神経活動などに及ぼす影響を比較検討した。実験では、両側の大腿四頭筋上に表皮電極を貼り付け、予備実験で明らかになった最もエネルギー消費を高める電気刺激法(刺激周波数20Hz、1秒間刺激1秒間休息のパターン)を20分間行った。酸素摂取量を呼気ガス分析から、全身糖取り込み量は、正常血糖高インスリンクランプ法を用いてグルコース注入量の変化から決定した。その結果、電気刺激中に酸素消費量は安静時の約2倍に上昇したことから、体内のエネルギー消費が亢進することが実験的に明らかになった。電気刺激は速筋線維を選択的に動員するため、血中乳酸濃度、呼吸商の有意な上昇を惹起し、筋グリコーゲン消費亢進が強く示唆された。この効果は同等の酸素消費をきたす自転車運動では認められなかった。運動中の全身の糖取り込み率は同程度の亢進を示したが、電気刺激終了後の持続的糖取り込み率は自転車運動後よりも有意に大きかった。これらの結果は、骨格筋電気刺激は糖・グリコーゲン代謝の活性化に非常に有効であることを強く示唆するものである。さらに、我々独自のプロトコルを用いた低周波筋電気刺激トレーニング(EMS)が、筋肥大に及ぼす効果について下腿三頭筋を実験対象として検討した。トレーニング群、反対の足をコントロール群として、EMSトレーニングを週を5回、4週間行った。その結果、最大随意収縮力及び筋放電振幅値がトレーニング群で時間経過と共にほぼ直線的に増大した(P<0.01)。MRI画像解析によって求めた筋断面図から筋量を推定した結果、トレーニング群では実験開始後2週間後から、有意に増大した(P<0.01)。以上の結果より、低周波電気刺激トレーニングにより最大随意収縮力が増大し、それらには神経的な適応と筋量の増大が貢献していること、また、その機序が通常の随意筋力トレーニングとは異なることが示唆された。この研究により、低周波筋電気刺激トレーニングを運動に制限がある人々やII型糖尿病患者に対する運動療法として用いることで、早期の筋肥大を惹起し、それらが糖代謝改善に寄与する可能性が十分にあることが示唆された。
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