研究概要 |
本研究は,人間の独自的な能力であると考えられてきた創造性をコンピュータによって実現することを目指している.創造性とは既存の知識を組み合わせて発生する新たな概念ととらえる.例えば,単語を組み合わせることで新たな概念を生み出すなどがあげられる.本研究では,このような創造性を発生する鍵をランダム性と考え,物語作成システムに生かす研究を行っている. 物語作成システムでは,システムからの質問に対してユーザが入力していくことで物語が作成されるシステム,および連想辞書を用いて物語の筋書きであるプロットを生成するシステムを作成した.これらは,ランダムに生成された質問から物語を生成するシステムと,それとは対照的に,ユーザへの質問や補助情報の入力なしに物語を生成するものであり,創造性に関してユーザが関与することの意味を掘り下げることができた. 関連研究として,しりとり問題について考察した.その結果,利用する単語数が最大のしりとり,および文字数が最大となるしりとりを構成する方法を開発した. さらに,単語間の情報とランダム性を利用した概念ネットワークの生成,単語の結束度を用いたテキストセグメンテーション,マルチエージェント環境における評価関数の学習,乗法に対する覆面算を題材にとって,ランダム性を持たせて問題を作成する手法などを研究,開発した. コンピュータの創造性は,物語を生成するような直接的なものだけでなく,対話応答や文章問題の解答などでも表現することができる.この視点から,話題語の集合を用いて対話の応答選択を行う研究,多人数対話における対話のつながりを抽出する手法の開発,決定木学習による敬語選択ルールの生成や述語補完などを行った.
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