配分額 *注記 |
7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2004年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2003年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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研究概要 |
本研究は情意領域の他覚的な評価を実現することを目的とした。そこで,情動を自然に喚起するために,快・不快情動を喚起する映画のシーンを編集した映像クリップを作成し,複数のクリップを組み合わせた映像バッテリーを開発した。次に映像バッテリー呈示時の,呼吸・心臓血管系諸反応を測定し,これら生体情報パターンから感情の質と強度を推定することを試みた。その結果,以下の所見を得た。 1.快情動を喚起する映像(POSI)と不快情動を喚起する映像(NEGA)に対して分時換気量(VE)は有意に増加した。分時換気量は呼吸数と1回換気量の積であるから,感情的変化が生じれば呼吸の早さが増加するか,あるいは深さが増加し,結果として換気の促進が生じることが明らかにされた。 2.動脈血圧はNEGA映像に対して有意な増加を示した。動脈血圧は心拍出量と末梢血管抵抗の一方あるいは両方の増加で上昇する。一方,心拍数(HR)はNEGAに対して,最初は減少を示し,その後じょじょに増加に転じた。心拍出量はHRに依存することから,NEGAに対して心拍出量も一過性に減少したはずだが,血圧上昇は短い潜時で出現した。従って,NEGA呈示中の血圧上昇は,もっぱら末梢血管の収縮(αアドレナリン作動性血管交感神経活動亢進)により引き起こされたと考えられた。以上の点から,情動変化が生じているか否かは,分時換気量が増加したかどうかで判別可能であり,快・不快の情動の判別は心臓血管系の変化パターンから同定することが可能と考えられた。 3.1で述べたように,呼吸系は情動変化を鋭敏に反映するが,随意的支配が可能な系である。そこで,呼吸を意図的に制御することが,情動反応に影響を与えるかを検討した。その結果,呼吸変化を抑制することで,情動喚起時の心臓血管系反応を緩和する効果を認めた。この問題はストレスマネジメントという健康教育の課題として今後検討する。
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