研究課題/領域番号 |
15300277
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育工学
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
林部 敬吉 静岡大学, 情報学部, 教授 (20023624)
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研究分担者 |
阿部 圭一 愛知工業大学, 経営情報学部, 教授 (80022193)
辻 敬一郎 中京大学, 心理学部, 教授 (20023591)
雨宮 正彦 愛知工業大学, 情報学部, 教授 (00281056)
ヴァレリ ウイルキンソン (ウイルキンソン ヴァレリ アン / ウイルキンソン ヴァレリ・アン / ウイルキンソン ヴァレリ、アン / ウイルキンソン ヴァレリ) 愛知工業大学, 情報学部, 教授 (40240626)
松王 政浩 北海道大学, 大学院理学研究科, 教授 (60333499)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
12,100千円 (直接経費: 12,100千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2005年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2004年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2003年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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キーワード | 伝統工芸技能 / 技能の伝承方法 / わざことば / 技能伝承の認知過程 / マイスター制度 / 伝承メモ / 継承ノート / 伝承工芸士 / 事業協同組合方式 / 後継者育成事業 / 技能伝承の循環 / 暗黙知 / 技能の修得の認知過程 / 伝統工芸士 / わざ言語 / 師匠と弟子 / 伝統工芸品 / 職人選択の自発性 / 職人アイデンティティ / ドイツマイスター制度 / 技能の習得の認知過程 |
研究概要 |
心理学的視点と教育工学的視点から、日本伝統工芸技能の修得過程の分析、外国の技能研修制度と修得過程の分析および両者の修得過程における異文化間比較、さらに暗黙知である技能の修得を促進するわざことばの調査を通して、伝統工芸技能修得の認知的なプロセスの特徴を明らかにし、この認知的モデルに依拠した効果的な技能修得の方法と支援について提案することを目指した。 陶磁器、指物、筆、硯、染色、和紙、漆器、織物など主に伝統工芸産地指定を受けた親方と弟子に対しての面接と取材調査、ドイツのマイスター制度とデュアル制度の現地調査、浜松の楽器製造産業における技能の継承についての取材調査、さらにすべての伝統工芸産地指定約220箇所の伝統工芸士に対して、「わざことば」のアンケート調査を実施した。伝統工芸士に対する取材調査では、実際の工程でのもの作りをビデオおよび3次元ビデオに録画すると共に、主要な「わざ」の手指の型を3次元カメラで取得した。企業については、工芸技能の世代間継承の方法、実態について調査した。 これらの調査と分析の結果、次のことを明らかにできた。 (1)「わざ」の伝承は、一種の徒弟方式である「師弟相伝」で行われる。技能伝承の基本は、技能の熟練者(親方)の模範を継承者(弟子)が観察・模倣するにあり、また継承者の技能習得を助けるものとして「わざことば」が存在する。技能伝承を効果的にするには、伝承者と継承者との間に信頼にもとつく人間的な紐帯が形成されることが大切である。 2)日本の徒弟制度とドイツのマスター制度を比較すると、日本のそれの良い点は、極めて優れた技能保持者を生み出せるのに対して、ドイツのそれは、一定の技能水準をもつ技能者を育てることができることにある。徒弟制度の悪い点は、技能の修得過程が明文化されていないことで、教え方が親方の独善的なものに陥りやすい。デュアル制度の短所は、名人といわれるような技能の伝承が行われにくく、獲得した技能が一代限りで終わる点である。 (3)企業における「わざ」の伝承でも、「師弟相伝」方式が採用され、技能の熟練者と継承者が相互信頼に基づき相互啓発しながら行われる。この場合、弟子の技能習得を助けるものとして「伝承メモ」(熟練者)と「継承ノート」(継承者)を介在させることが重要である。 (4)「わざことば」は、技能の枢要な事項を比喩的あるいは示唆的に表現したもので、それ自体が技能の内容を余すところなく記述したものではないが、しかし技能上達のヒントともなるべきものである。
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