研究課題/領域番号 |
15310006
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
近藤 昭彦 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 教授 (30201495)
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研究分担者 |
唐 常源 千葉大学, 園芸学部, 教授 (80251198)
佐倉 保夫 千葉大学, 理学部, 教授 (70153947)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
15,600千円 (直接経費: 15,600千円)
2005年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
2003年度: 7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
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キーワード | 中国 / 華北平原 / 水問題 / 地下水 / 北京 / 天津 / 学際的研究 / 社会経済要因 / 水質 / 同位体 |
研究概要 |
水問題を解決するためには、まず現場に入り、実態を把握することが必要である。対策は水循環機構の理解から生まれるという点が本研究のスタンスである。そこで、まず水循環の場について考えた。華北平原は広大な平野であるが、地形的には大行山地から渤海湾にかけて扇状地、低地、三角州の配列がある。大扇状地は3カ所あり、北京、石家庄を載せる扇状地、南部の黄河扇状地が対応する。本研究は、石家庄扇状地における研究から始まり、その後北京扇状地に重点を移し、平成17年度には黄河扇状地(河南省)の予察的調査を行った。北京扇状地における調査では、多数の井戸から採水された試料の水質、同位体組成に基づき基本的に扇頂部で涵養され、低地・沿岸部に流出する地域地下水流動系の存在を明らかにした。石家庄における調査では、地下水位低下問題と食糧問題の関わりについて検討し、水問題の将来展望には自然的要因のみでなく社会経済的要因、政策を同時に考慮する必要があることを示した。 華北平原における水不足問題を解決するために北京政府は南水北調プロジェクトを開始したが、本研究は最終的に南水北調中線に沿うルートを網羅することになった。河南省黄河周辺では地下水位は比較的高く、民家は自家井戸で家庭用水を賄っている。しかし、河北省北部の地下水位低下地帯になると個人で深井戸を維持できず村共有の井戸による簡易水道となる。しかし、北部では表流水は不足し、地下水位は依然低下を続けている。地域的な水問題の進行過程を明らかにしたが、黄河周辺で地下水位が高いのは黄河扇状地からの涵養が考えられる。一方、平原北部では表流水は取水のため断流しており、扇状地への涵養は期待できない。これらの結果から、地形要素の水文学的機能に基づく地域水循環の復活が地下水保全戦略として提案できる。一方、南水北調については水利用システムが社会的に脆弱にならないような配慮が必要であろう。
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