研究課題/領域番号 |
15310010
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
小泉 博 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (50303516)
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研究分担者 |
秋山 侃 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (10283318)
鞠子 茂 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (10251018)
大塚 俊之 茨城大学, 理学部, 助教授 (90272351)
別宮 有紀子 都留文科大学, 初等教育学科, 助教授 (20326094)
横沢 正幸 独立行政法人農業環境技術研究所, 地球環境部, ユニット長 (80354124)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
13,400千円 (直接経費: 13,400千円)
2006年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2005年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2004年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2003年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | 炭素隔離 / 土壌呼吸 / 土壌圏炭素 / 炭素収支 / 炭素動態 / 根呼吸 / 高山スーパーサイト / 流域圏 / 冷温帯落葉広葉樹林 / 炭素安定同位体 / 土壌炭素 / 炭素シーケストレーション / 伐採跡地 / 生態系純生産量(NEP) / 冷温帯ススキ草原 / 密閉チャンバー法 / 森林伐採 / 根の呼吸 |
研究概要 |
冷温帯の流域圏に分布する様々な陸上生態系を対象に生態学的手法を用いて炭素蓄積量と炭素動態を測定した。具体的には、(1)高山試験地(岐阜大学)と菅平試験地(筑波大学)における二次遷移過程にある伐採直後の草本群落から100年生の落葉広葉樹林と、(2)富士山北麓の一次遷移過程にあるマツ若齢林(植生形成後12年)、マツ壮齢林、針葉樹林および極相の落葉樹林(植生成立後2850年)を研究の対象とした。 長野県及び岐阜県の冷温帯地域に分布する二次遷移の各遷移段階の植生で実測されたSOC(土壌有機炭素)と炭素フラックスの変動を時系列的に比較した。その結果、二次遷移では、土壌炭素の動態は遷移に伴う、はっきりとした傾向は見られなかった。強調すべき点として、特に草原-森林移行期における土壌炭素動態に着目すると、草本から木本のステージへの移行期において土壌炭素が減少することが明らかとなった。これは草本植物と木本植物の生活形の違いが原因と考えられた。つまり、草本植物は地上部を毎年作り替えるが、木本植物は毎年地上部を増大させるので、木本のステージでは土壌への炭素供給量が減少する。一方で、ススキの時に増加した土壌炭素はアカマツに遷移した直後はやや減少するが、やがて再び増加した。このことより、遷移時間やバイオマスなどをさらに定量化することによって、各遷移段階における土壌炭素収支の特徴を定量的に評価することが可能であることが分かった。 富士山北麓において、溶岩年代の異なる場所に成立した4種の森林生態系における土壌炭素動態を調査した結果、若齢アカマツ林からヒノキ・ツガ林まではCWD(地上部+地下部の粗大枯死有機炭素)に大きな変化はなかったが、リターは漸次増加した。しかし、さらに遷移の進んだ落葉広葉樹林では、CWDが増加したもののリターは若干減少した。有機物の分解フラックス(HRまたはSR)は若齢アカマツ林で最も高い値を示し、次いでヒノキ・ツガ林と落葉広葉樹林となった。若齢アカマツ林で高いフラックスが見られたのは、十分に発達していない森林であるため浅い林床土壌に直射光が入り、土壌温度が高くなったため分解が進んだためと考えられる。一方、成熟アカマツ林は最も低いフラックスを示したが、まだ遷移初期にあるため土壌が未発達であることが原因と考えられる。二次遷移パターンとは異なり、SOC(土壌有機炭素)は遷移の進行に伴って増加した。この結果はSOCの蓄積には溶岩の風化に伴う土壌層形成の進行が重要な要因であることを示している。
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