配分額 *注記 |
10,400千円 (直接経費: 10,400千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2003年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
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研究概要 |
原爆中性子線量評価のための現行の計算方式は,中性子誘導放射性核種の比放射能の実測値を再現できるか否かによって妥当性が証明されなければならない。しかし,長崎原爆の爆裂点から直線距離1170m以遠の位置(被ばく生存者が多い)においては,被ばく試料の原爆中性子誘導放射性核種を実測した例が無く,計算方式の妥当性は実証されていない。平成15年度から4ヵ年計画で開始した本研究では,長崎原爆の爆裂点から直線距離1595mの位置で被ばくしたコンクリートを試料として,ユーロピウム(Eu)-152(半減期13.542年)の比放射能(Eu-152/Eu,単位Bq/mg)を高確度で実測し,実測値を計算方式による値と比較して実測値と計算値相互について妥当性を検討した。 被ばくコンクリート試料約19kgから化学分離によって得たEuフラクションについて超微弱Eu-152残留放射能を測定した結果,平成14年度までに,Eu-152の測定が天然放射性核種アクチニウム(Ac)-227の娘核種によって妨害されていることが明らかになり,平成15年度と同16年度において,EuとAcの分離に関する基礎研究と,その成果に基づく上記EuフラクションからのAcの除去を行った。平成17年度に,上記EuフラクションからAcを除去して得た精製EuフラクションについてEu-152比放射能を実測したところ,実測値は計算値の約10倍という結果になった。Eu-152の定量を,Eu-152の電子捕獲壊変に伴うサマリウム(Sm)K-X線で行っているので,精製Euフラクションに含まれる放射性核種からの放射線によるSmの蛍光X線も計数しているために実測値が高く出るものと考え,平成17年度と同18年度にSm蛍光X線の寄与を評価するために,精製Euフラクションに含まれるアルファ放射体とベータ放射体の定量,アルファ線とベータ線によるSmの蛍光X線発生強度に関する系統的な検討を行った。また,金沢大学低レベル放射能実験施設の尾小屋地下測定室で精製Euフラクションの極低バックグランド測定も行った。その結果,Eu-152放射能の実測値に対する蛍光X線の寄与は少なく,電子捕獲壊変に伴うサマリウム(Sm)K-X線の測定によるEu-152の定量結果と尾小屋測定によるEu-152の定量結果が一致することも分かった。実測値が計算値よりも1桁高くなる理由の解明を進めている。
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