配分額 *注記 |
15,300千円 (直接経費: 15,300千円)
2005年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
2003年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
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研究概要 |
本研究では,哺乳類の酸化DNA損傷修復機構の解明を目的として,酵素精製法と酵素トラップ法を併用し,酸化損傷修復に関わるDNAグリコシラーゼを同定した。さらに,既知および新規に同定した酵素の詳細な機能解析を行った。研究成果は以下の通りである。 (1)oxanineを含むDNAを酵素トラッププローブとして,HeLa細胞のDNA損傷認識タンパク質探索を行った。トラップ生成物のSDS-PAGE分析では,28〜69kDaの間に14のバンドが確認された。mass fingerprintingで同定されたタンパク質には,ヒストンの外にDNA修復に関与が推測されるがタンパク質複数含まれており,現在,修復への関与を調べている。 (2)ラット肝臓を出発材料として5-formyluracil(fU)除去活性の精製を行い,同活性がrSMUG1であることを示した。さらに,ヒトホモログhSMUG1は,uracil(U)および5位に酸化置換基を持つU損傷(fU,5-hydroxymethyluracil,5-hydroxyuracil)を特異的に除去し,HeLa細胞中の主要活性であることを示した。SMUG1は,従来の修復酵素とは明らかに異なる損傷特異性と基質認識機構を持ち,酸化損傷修復酵素の新規なメンバーであることを明らかにした。 (3)ヒトDNAグリコシラーゼ(hNTH1,hNEIL1,hNEIL2)の酵素特性を大腸菌ホモログと比較検討した。酸化DNA損傷の修復機構(塩基除去修復)は,大腸菌とヒトで基本的に保存されているが,個々の酵素の機能は両者で大きく異なっている部分があることを示した。 (4)大腸菌および酵母には,新規な塩基損傷修復機構としてEndo IVおよびApn1により開始されるヌクレオチド切断修復機構がありは,細胞内おいてこれまでに知られている塩基除去修復機構と相補的に働いている可能性が示唆した。
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