研究概要 |
1.焼却飛灰の組成分析と飛灰からの重金属の溶出 蛍光X線分析装置(平成15年度購入)によって試料飛灰の元素分析を行った。Ca,K,Naが多く含まれ、Znは0.5mol%,CuとPbは約0.03mol%と微量含まれることが分かった。溶離液として塩酸、硝酸、酢酸を用い、単通法とバッチ法によってCu,Zn,Pbの溶出挙動を調べた。 何れの方法においても、Znは用いた全ての溶離液によってよく溶出された。一方、Pbは0.25M,0.5Mの塩酸および0.25Mの硝酸によってよく溶出された、しかし、0.5Mの硝酸および0.1-0.5Mの酢酸によっては僅かに溶出された。Cuは塩酸よりも硝酸や酢酸によってよく溶出された。 2.中空糸膜と水溶性キレートポリマーを用いた金属イオンの回収速度 本回収法において、金属イオン(Cu(II)、La(III))の膜透過速度を求めた。総括物質移動係数に対する液流速および撹絆速度の影響を考慮して求めたCu(II)およびLa(III)のポリアクリロニトリル製中空糸膜内有効拡散係数はそれぞれ3.3×10^<-9>m^2.s^<-1>、2.5×10^<-9>m^2.s^<-1>であった。水溶性キレートポリマー溶液中に浸した中空糸膜の中空部に金属イオン溶液を流す単通法において、内径0.4mm,外径1.2mm、長さ110cmの中空糸膜では滞留時間約5分で98%以上のイオンの除去が可能であることが分かった。 3.金属イオンの固定化 リン酸-水素ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウムを用いると、短時間に水溶液中から2価の重金属であるPb,Cd,Co,Cuを固定化回収することができた。また、カルシウムヒドロキシアパタイトによって4価のTiおよびZrを固定化回収できることを示した。
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