配分額 *注記 |
10,900千円 (直接経費: 10,900千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2004年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
2003年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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研究概要 |
リン肥料を施用すると畑土壌の可給態リンや全リン濃度が高まるが,施用位置から1m以上離れるとリンの濃度は変化しないことが明らかになった.従って肥料として施用されたリンは畑から周辺の河川や土壌へ流失する量はほとんどなく,むしろ土壌に固定化される量がほとんどであると考えられる.この傾向は黒ボク土壌などの火山灰性土壌で著しいと考えられる. アーバスキュラー菌根菌を接種するとリン肥料を施用しなくても,作物のリン欠乏を回避でき,生育を促進することができることが明らかになった.ただし,接種する菌が異なると作物の生育促進程度が異なる.具体的にはインゲンの場合,供試した菌のなかではGlomus mosseaeの生育促進効果が大きかった.このGlomus mosseaeをインゲンマメに供試した場合,胞子を5000個接種するとリン肥料を施用したときと同程度インゲンマメの生育が促進されることが明らかになった.このことは土壌中の胞子密度を高めればアーバスキュラー菌根菌はリン肥料の代替になる可能性があることを示唆し,同時に種々の作物において最も生育を促進する菌の種類を明らかにすることが必要であることを意味する. 土耕法でアーバスキュラー菌根菌の胞子を増殖させる場合,供試する土壌の種類によって増殖胞子数が大きく異なることが明らかになった.すなわち,土壌の種類では砂質土壌より赤玉土壌で増殖率が高く,同じ土壌でもより粒径が小さい土壌のほうが高い増殖率を示すことが明らかになった.また,土壌水分は増殖率に影響を与え,作物が順調に生育する範囲の土壌水分では土壌水分が高いほうが増殖率高くなることが明らかになった.これらのことから,土壌環境の違いによってアーバスキュラー菌根菌胞子の増殖率は著しく異なることが明確になった.
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