配分額 *注記 |
11,300千円 (直接経費: 11,300千円)
2006年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2005年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2004年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2003年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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研究概要 |
広島湾の垂下式養殖における、カキ殻に付着物に注目し、水質浄化機能を有する浮き魚礁を開発するため研究を実施した。広島湾カキ養殖におけるカキ殻付着有機物(ASOM)、カキ殻付着動物群集(SAF)の現存量、有機物生産量、分解量を実測し、カキ殻付着物が現場海域の物質循環に果たす役割について評価した。また、「カキ殻通水ケース,海洋建設株式会社の特許商品」を吊り下げ、同様の実験を行い、水質浄化および魚礁としての機能を評価した。 1.SAOMの微細藻類、C,N,PおよびChlaの年平均現存量は、およびSAFの年平均現存量は、13.9×10^5cells/oyster75.8mgC/oyster、11.1mgN/oyster、1.39mgP/oyster,0.087mgChla/oysterであり、SAFの密度および生物量は368ind/oyster、20.9g/oysterであり、膨大な量であった。 2.SAOMおよびSAFの有機物生産・消費速度の実測値から、カキ殻表面は有機物分解の場として重要であることが明らかとなり、その分解速度は40.9mgC/oysterであり、非常に大きい。 3.広島湾全域におけるSAFの現存量は18,000tonであり、推定される生産量は35,000-53,000ton/yearであり、この値は広島県全域の漁業生産の18-27%を支えることが可能な量である。 4.「カキ殻通水ケース」垂下実験から、SAOMの付着微細藻類現存量、SAFの現存量は、145×10^6)cells/Shell-case、7,900inds/Shell-case、1,040g/Shell-caseであり、SAOMおよびSAFの有機物生産・消費速度の実測値から、1,420mgC/Shell-case/dayの有機物分解能力を有することが明らかとなった。 5.長さ20m、幅10m、深さ10mのカキ筏の同じサイズのカキ殻ケースを使った浮き魚礁(合計2000個のカキ殻ケース)を想定した場合、本浮き魚礁1台で、2.9kgC/dayの有機物分解能力を有し、400-600kg/yearの漁業生産を支えることが可能であると推測された。
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