研究概要 |
マイクロチャンネルの分岐構造による液滴生成法を応用した,10〜100μm程度の直径をもつ単分散ポリマー微粒子の生成手法の研究を行った.実施内容は主に,(a)液滴生成用マイクロチャンネルの加工,および(b)液滴生成試験とポリマー微粒子の製造,の2つに大別される. マイクロチャンネルの加工では,樹脂やガラスなどの材料に対して,機械加工(エンドミル加工,超精密加工,軸付砥石による研削加工など),レーザ加工(エキシマレーザ),エッチング加工(ウエットエッチング,ドライエッチング)などにより,10〜100μm程度の断面寸法を有する微細溝の加工を行った.その結果,ガラスへのドライエッチング加工により,形状精度に優れ,且つ断面アスペクト比の大きい(最大3程度)マイクロチャンネルを製作できることを明らかにした. 液滴生成試験では,上記手法によって製作された各種形状(T字,十字,シースフロー)のマイクロチャンネルを使用し,エマルションの生成実験を行った.マイクロチャンネル壁面の濡れ性が液滴生成の可否に重大な影響をもつことが明らかとなり,ポリマー微粒子の調製に必要なO/Wエマルションを得るためには,親水性表面をもつガラス製マイクロチャンネルが好適であることがわかった.生成液滴のサイズは分散相,連続相の流量を変化させることで大きく変化させることが可能であった.最小で直径15μm程度のモノマー滴を変動係数5%以下にて得ることができた.また複数のマイクロチャンネルを同一チップ上に並列化させ,生産量のスケールアップを実現できることを示した.得られた単分散モノマー滴を光重合あるいは熱重合によって固化することで,直径15〜100μm程度,変動係数5%以下の単分散ポリマー微粒子を生成することができた.
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