研究概要 |
本研究では,センサに能動素子であるアクチュエータを付加し,「センサ=受動素子+能動素子」という新しい捉え方をすることで,一つのデバイス構造で複数の物理量検出が可能なセンシング機能を実現することを目的とした.具体的にはこの考え方を触覚センサに適用し、単一センサ素子で接触力と硬さの両方を検出することが可能な能動型触覚センサを開発した.上記能動型触覚センサを実現することを目的として、Si製ダイアフラム変位センサと、ダイアフラムを駆動する磁気力アクチュエータとの一体化を図りその動作機能を評価した.本研究で得られた成果を以下に示す. (1)能動型触覚センサ構造に対する設計手法の確立 人間の指を対象物体としてそのセンサデバイス仕様値を決定し,それに基づいてデバイスセンシング部及び磁気力駆動部を設計した. (2)能動型触覚センサ作製プロセスの確立 上記設計値仕様にもとづき,MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いてセンシング用Si製ダイアフラム及び磁気力駆動用フラットコイルの作製プロセスを確立した. (3)能動型触覚センサによる硬さ検出 Si製ダイアフラムセンシング部とフラットコイル駆動とをハイブリッド実装することで能動型触覚センサデバイスを作製し,本センサデバイスによる硬さ識別機能を評価した.以下にその詳細を述べる. ・ゴム硬度に応じてダイアフラムセンシング部の共振周波数、振幅,位相状態が変化しており、本検出原理で対象物の硬さの違いを識別できることを確認した. ・能動型触覚センサとゴムサンプルとの振動モデルを用いてゴムサンプルの弾性定数及び減衰定数を算出できる見通しを得た.
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