研究課題/領域番号 |
15310124
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
自然災害科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
島崎 邦彦 東京大学, 地震研究所, 教授 (50012951)
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研究分担者 |
岡村 眞 (岡村 真) 高知大学, 理学部, 教授 (10112385)
都司 嘉宣 東京大学, 地震研究所, 助教授 (30183479)
松岡 裕美 高知大学, 理学部, 助教授 (60222296)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
11,600千円 (直接経費: 11,600千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 10,300千円 (直接経費: 10,300千円)
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キーワード | 津波 / 別府湾 / 海底活断層 / 慶長豊後地震 |
研究概要 |
別府湾大分港内の朝見川断層で採取された堆積物と音波探査記録の解析から、朝見川断層が1596年慶長豊後地震の際に活動したと推定した。また、地震活動に伴う海底土石流堆積物が認められた。1596年慶長豊後地震時の海底土砂堆積物は、音波探査測線上で、幅約100m、高さ2-3mに達している。これらの点は、水没したという瓜生島の伝説や、史料に記載されている高崎山の山崩れと調和的である。 別府湾全域の音波探査記録の解析から、海底断層の上下変位について、由布火山灰降下後の累積変位量と、アカホヤ火山灰降下後の累積変位量とが、ほぼ比例することが判明した。このことから、断層に沿う地震時の変位量分が、異なる地震で互いに相似すると推定される。この推定に基づき、1596年慶長豊後地震時の上下変位量を推定し、断層モデルから海底の上下変位量を求めることにより、津波波源の詳細構造を推定した。得られた波源は複雑な構造を示し、単一の断層の活動による波源とは異なる。数値計算により得られた湾岸での津波最大波高は、単一断層モデルも現実の複雑な波源モデルも、別府湾南岸において最大となり、必ずしも複雑なモデルを必要としないようにみえる。しかし両者は、津波エネルギー放出の方位分布が異なり、別府湾南岸以外では津波波形も大きく異なる。すなわち現在用いられている、単純な断層モデルに基づく津波波源による推定は、大局的には現実の津波を近似するものの、細部の再現を保証できないと考えられる。防災のために使用される津波シミュレーション結果は、大局おいては将来発生する津波を近似すると考えられるが、その細部に基づく対策は逆に危険をもたらす可能性がある。また、これまで津波から逆推定で得られた断層面上の変位量分布は、地震波などからの推定と必ずしも一致していない。このような不一致の原因の一つとして、複雑な断層構造による津波波源の存在が考えられる。
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