研究分担者 |
松本 樹典 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10143877)
宮島 昌克 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (70143881)
桝谷 浩 (枡谷 浩) 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (20157217)
王 功輝 京都大学, 防災研究所, 助手 (50372553)
佐々 恭二 京都大学, 防災研究所, 教授 (30086061)
蔡 飛 群馬大学, 工学部, 助手 (20312902)
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配分額 *注記 |
12,400千円 (直接経費: 12,400千円)
2005年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2004年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2003年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
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研究概要 |
甚之助谷地すべりは中生代ジュラ紀から白亜紀前期で堆積した手取層群の砂岩・頁岩の互層において発生している。当地すべりは上部ブロックと下部ブロックに分けられ,上部ブロックは年間80mm〜170mmの速度で活発に変位しているのに対して,下部ブロックはほとんど安定している。孔内傾斜計の観測結果より,場所によって,風化の進行の差が大きいことが分かった。地すべりの運動誘因に関しては,孔内伸縮計観測結果と孔内水位変化の比較より,斜面変位はある臨界水位を超える地下水位の上昇量とほぼ比例関係にあることが分かった。この結果は当地すべり対策工の設計に重要な情報を与える。 大規模地すべりが発生した場合を想定した運動予測に関して,地すべり運動範囲予測プログラムの開発・改良を行ない,その妥当性を検証した。1934年に発生した別当崩れに対する逆算から求めた運動中の力学パラメータを甚之助谷地すべりに適用し,運動範囲予測を行った結果,地すべり土塊は下流に建設された手取川ダム貯水池に突入することとなり,十分な警戒が必要であることを示唆した。 平成16年5月に別当谷側で発生した地すべり-土石流の発生・運動機構に関する調査・研究より、以下の結論を得た。別当谷の渓流堆積物は,上流から下流にかけて粒子破砕し易さが減少する傾向が見られ,これは渓床堆積物の非排水挙動に影響を及ぼした;発生域の調査からは,集中的に流出していた地下水は斜面崩壊を誘起し,さらにその後の流動化にも影響を及ぼした;源頭部土試料は自然排水状態でも,せん断抵抗の急激な低下が見られ,地すべり発生後の高速運動の原因となっていることが認識される;源頭部の崩壊土砂が渓床堆積物に衝撃載荷によって,ほぼ液状化している試験結果から,地すべり土塊が別当谷の中に滑り込んだ直後,土石流を誘起したことと推定される;液状化して土石流になった崩壊土砂が別当谷の中に運動している時に,渓床堆積物に衝撃を与えながら,進行している流下過程の再現試験は,土石流進行中の斜面勾配の変化(緩くなること)によって,流動過程における見かけの摩擦係数の増大傾向が見られた;土石流運動の最終段階の再現試験では,せん断中に発揮している見かけの摩擦角度は斜面勾配とほぼ等しくなり,土石流の停止過程を示唆した。
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