研究分担者 |
阿部 純 北海道大学, 農学研究科, 助教授 (00192998)
梅本 信也 (橋本 信也) 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教授 (60213500)
中山 祐一郎 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助手 (50322368)
副島 顕子 大阪府立大学, 理学系研究科, 助手 (00244674)
山根 京子 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助手 (00405359)
西野 貴子 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (20264822)
保田 謙太郎 佐賀大学, 海浜台地生物環境研究センター, 日本学術振興会特別研究員PD
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配分額 *注記 |
12,300千円 (直接経費: 12,300千円)
2005年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2003年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
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研究概要 |
撹乱環境下における遺伝資源植物の多様性の実態を明瞭にし,遺伝的多様性と生態的要因との関係性を知るため,除草作業や自然撹乱のある場に生育する栽培植物の近縁種についてフィールドサイエンス的方法,分子系統学的方法および集団生物学的方法で調査分析し,自生地保全に関して考察した。 東亜植物区系の植物では,撹乱地に生育する栽培植物近縁種の生態的踏査をすすめ,中国雲南省のユーマイ栽培下で矮性カラスムギを発見し,アズキ亜属植物ではタケアズキの大群落形成傾向とヒメツルアズキおよびヒナアズキの狭い生態的嗜好性を明らかとし,さらにヒエ属植物では撹乱条件下において多年生野生種の一年生傾向化が広範囲にあることを認め,‘たで'では半栽培の実態を記録した。照葉樹林帯の庭園には適正利用のもとで保全される希少種の存在を明らかにした。東亜植物区系植物では探検的調査と同時に系統学的・集団遺伝学的解析に必要な素材を採集した。また,撹乱の質と量にかかわった遺伝的動態解析に必要なSSRとSNPマーカーを検索・開発した。 系図・系統学的研究では,離島を含む九州北西部におけるオニユリとコオニユリの葉緑体塩基配列の多様性を解析し,旧熱帯要素群のハイノキ科植物やシロヨメナ,周北要素のブドウ科植物,ダイコン属・コムギ-エジロプス属・ヒヨコマメ属などの地中海要素植物群の系統解析し,アズキと近縁種ではアルファアミラーゼ遺伝子の塩基配列多型を解析し,ダイズ属とヒエ属植物ではSSRとITS領域および葉緑体DNAの塩基配列変異を分析し,系統樹情報から形質進化を解析し,撹乱依存種固有の遺伝生態的特徴の系譜を明らかにした。 集団動態学的研究ではアズキ野生種,ツルマメ,チガヤ,キク科遺伝資源植物の自然集団での撹乱要因と生活史特性および遺伝的特徴の動態をしらべ,その関係性を分析した。一年生の性質など撹乱条件でみられる形質は栽培植物の近縁種では比較的新しく進化し,栽培種と近縁野生種は相互に遺伝的交流を保ちながら高速に変化していた。自生地保全においては地史的要因,適応,個体群維持機構の要素を考慮すべきである。
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