研究分担者 |
高橋 眞一 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (80030683)
渡辺 真知子 明海大学, 経済学部, 教授 (70201233)
佐藤 哲夫 駒澤大学, 文学部, 教授 (00170762)
吉田 道代 摂南大学, 外国語学部, 専任講師 (40368395)
早瀬 保子 日本貿易振興会, アジア経済研究所, 研究員
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配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
2005年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2004年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2003年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
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研究概要 |
3年間の研究の成果は以下の通りである。第1に,タイの農村地域における1980年代以降の出生率低下の結果,近年は潜在的な移動者は減少しているものの,依然として農村地域の就業機会は不十分であり,人口の流出傾向は続いている。なお,流出先はバンコクよりも,工業化の進展しているバンコクの周辺地域への流出が多くなっている。また,海外への人口移動も2000年以降は再度増加傾向にある。第2に,農村地域の動向をより詳細に研究することの重要性を確認した。タイではバンコクだけでなく,コンケン,チェンマイなどの地方都市,およびその周辺の農村地域で人口流出に関する実態調査をおこなった。近年における地方都市の経済発展,また農村地域については依然として農外就業の機会は十分ではないが,情報化の進展や移動費の相対的低下のなかでバンコク大都市圏や海外への出稼ぎが増加していることが明らかになった。これら出稼ぎ者の送金により,農村の景観は変貌しつつある。第3に,ラオスの農村調査では,経済発展の前にテレビや携帯電話など情報機器が村にも拡散することで,消費への関心の高まり,外部への出稼ぎの可能性を多くの村人が感じている実態が明らかになった。また,農村の出生率についても,経済発展を待たずに,政府の土地政策による耕地面積の減少と商品作物栽培の拡大,情報化の進展によって,出生率が近年は低下していることが確認できた。 従来のグローバル化と関連させた人口移動研究ではバンコクなどの大都市に焦点をあてることが多かった。近年のタイの人口移動の変化はバンコクにおいて女性移動者の増大,近隣諸国からの移動者の増大などの点で確かに顕在化しているが,その背景には農村の工業化の進展,近隣諸国における経済発展の萌芽や情報化の進展などが重要であることがわかった。この点については当該の3年間では十分に明らかにできなかったので,次年度からターゲットをタイの農村地域と近隣諸国(とくにラオスとミャンマー)に絞った研究を基盤研究Bとして申請することにした。
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