研究課題/領域番号 |
15330002
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎法学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井上 達夫 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (30114383)
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研究分担者 |
田島 正樹 東北芸術工科大学, 一般教養, 教授 (20147490)
桂木 隆夫 学習院大学, 法学部, 教授 (70138535)
石山 文彦 大東文化大学, 法学部, 教授 (80221761)
大江 洋 北海道教育大学, 教育学部・函館校, 教授 (80308098)
瀧川 裕英 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (50251434)
奥田 純一郎 上智大学, 法学部, 助教授
橋本 努 北海道大学, 経済学部, 助教授 (40281779)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
11,400千円 (直接経費: 11,400千円)
2005年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
2004年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2003年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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キーワード | 領域基底的理論 / 主体基底的理論 / プロセス基底的理論 / 理由基底的理論 / 一階の公共性 / 二階の公共性 / 遵法義務 / 法の限界 / 公共性 / 市場 / 文化 / 教育 / 自己決定 / 責任 / 環境 / 正義 / シティズンシップ / 成長論的自由主義 / 立法過程における規範企業家 / 複合国境 / 法に対する敬意 / 情報化社会と自由 / 公法上の責任 / 寛容と協力 / 革命的法創造 / 「悪法=無法」 / 遵法責務 / 啓蒙 / 公と私 |
研究概要 |
本研究は公共性概念の哲学的基礎と規範的含意の包括的探求を通じて、公共哲学としての法哲学の再構築を目的とし、特に以下の3つの課題に焦点をあてた。(1)公共性概念の錯綜する諸構想を比較吟味し、その緊張を適切に調整し、実りある相補関係に転換させうる統合理論を構築する。(2)法概念・公共性概念の内在的連関を明らかにし、伝統的な法概念論争への新しいアプローチを提示する。(3)公共性理念を現実化する上での実定法の媒介役割と制度構造を解明する。各課題についての成果は以下の通り。 (1)第1に、公共性概念の伝統的諸構想は、領域基底理論、主体基底理論、プロセス基底理論の3モデルに分類することにより、的確に特徴付けられ比較対照されうる。第2に、伝統的な3モデルは現代多元社会の正統性危機を十分に乗り越ええない。第3に、伝統的モデルに代えて我々が構築した理由基底的理論が、規範的な根拠・制約として必要な伏在原理を明示化することによって、伝統的諸モデルの限界を乗り越え、それぞれの長所を相補的な形で救い上げる統一的な理論となる。 (2)理由基底的理論が含意する「一階の公共性」と「二階の公共性」、それに関連した「法における公共性」と「法の公共性」の概念的区別が、法と公共性の内在的連関を解明し、法の本性をめぐる概念分析的な議論において見過ごされてきた重要な規範的問題を同定するための最良の理論的視座をもたらす。この点の例証のために、遵法義務、革命的法創造、法の限界などの問題を議論した。 (3)実定法が現代社会の公共秩序を効果的に維持発展させるには、次の2つの条件が満たされることが不可欠である。第1に、「法における公共性」を発展させるために、法解釈と立法の双方が、実質的で特定的な公共的価値(一階の公共性)に関する、より原理的規律の高い熟議によって導かれなければならない。第2に、「法の公共性」を確保ために、法的決定の制度構造は単に一階の公共性における質的向上という観点からだけでなく、二階の公共性についての十分な熟慮によって設計されなければならない。現代法哲学において勃興しつつある立法学legisprudenceは、かかる条件を満たす効果的な方法を発見するにあたって不可欠な役割を果たすものであり、またそれを発展させるために、立法学研究の新たな共同研究を組織していかなければならないことを我々は認識した。 当共同研究の成果の一部は、国際的に発表された。井上は下記の参照文献に示した国際的共同論集に2つの論文を発表した。井上と瀧川は2005年にグラナダにて開催された国際法哲学社会哲学連合(IVR)において、各自の論文を発表した。瀧川論文は当会議の刊行紀要に掲載された。井上の論文はLuc Wintgenceによって準備されている編著に掲載されることが決まっている。国内では、本計画の研研究代表者・究分担者・研究協力者の寄稿による共著が、近くナカニシヤ出版から公刊される。
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