研究分担者 |
波多野 澄雄 筑波大学, 社会科学系, 教授 (00208521)
吉野 文雄 拓殖大学, 海外事情研究所, 教授 (90220706)
塩崎 弘明 長崎純心大学, 人文学部, 教授 (90123835)
玉木 一徳 国士舘大学, 文学部, 教授 (00207226)
山崎 功 佐賀大学, 文化教育学部, 助教授 (60267458)
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研究概要 |
本年度は,合計7回の研究会を開催し,最終会合(合宿形式)では,これまでの総括を行なうと共に今後の展望(とくに平成17-18年度の科研費申請)について討議した。 独立後3年目をむかえた東ティモール民主共和国は,政治,経済,文化すべての面で脱植民地化の途上にあり,中でもその基盤となる経済開発については深刻な「低開発性」に直面している。資源に恵まれない(潜在的には石油埋蔵があるものの)同国の政治指導層は先進諸国とりわけ日本に対する期待感を表明している。研究会では昨冬なされたグスマン大統領の訪日をめぐる二国間関係につき分析を進めたが,興味深い点は,東ティモール国内の一部にみられる根強い戦時支配に対する「賠償」要求にもかかわらず指導層は,現実的な対日経済関係を重視する立場から歴史問題に起因する対日批判を抑える方針をとっているこであった。対日関係の他,ASEAN,とくに隣国インドネシアとも複雑な要因をかかえながらも,「和解」を基調とした外交を推進していることが,両国の文書からも明らかにされた。他方国内の「統合」に関しては,懸念されたとおり,言語,及び宗教をめぐる広義の「エスニシティ」をめぐる問題が「独立」のelanが薄まるにつれ顕在化していることが明らかとなり,この点については引きつづき実証的な分析が必要である。
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